二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.86 )
日時: 2011/04/07 20:05
名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)

第187話 力こそ全て?

(なんで……)
「君たちには何も害がないじゃないか!」
「ああ? うるさいな、お前がいるだけで邪魔なんだよ! 馬鹿かおめえ?」
(ゴールドよりは口いい……でも面倒なのに巻き込まれた)

少年とサファリに向かっている途中に、まさにガキ大将といえる男の子たちが道をふさぐ様に立っていた。
マイは邪魔だなあ、と思っていた程度なのだがどうも少年の様子がおかしい。
額には汗と目が震えている。これだけみればお分かりだろう。
よくある苛めだ。

「お前さあ、オタクできもちわりーんだよ! 塾なんか通ってよ? うぜーんだよォ!!」
「やめなって」
「ああん? んだあチビ、知らねぇ面だな」

ボロボロになった帽子を深くかぶったガキ大将(仮)の名前はギア。
ギアの後ろに偉そうにたったひとりの男。名はリプア。

「弱い物いじめってさ、ちょーだせぇよ?」
「こいつ……チビの癖に口だけは達者のようだなぁ」
「口だけ? こっちも、いけるよ?」

下がって、とマイは少年にだけ聞こえる声で自分のちっぽけな背に回した。
こっち、とはバトル。腰に手をあて、パーカのチャックを下げる。
キラリと光るボールがまぶしくうつった。

「まあ? バトルには弱いも強いもないんだけどさ」
「ッチいいじゃねーの? その生きがいは気に入った! 勝負だ!」
「ねえ、君もバトル……え!? 持ってないの!?」

ひとつだけボールを手に取り、少年の顔を見ていう。
しかし、ポケモンを持ってないと言われ、まじかよ! と内心焦る。
いっきにふたりも相手をするほどの実力があるのかもマイは分からない。

「まだ持ってないのか? ラキ」
「ラキって言うの? 待ってて、すぐに片付けちゃうから」
「う、うん。ありがとう——えっと」
「マイ! 頑張ってよ、ピーくん!」

ギアが見下したようにラキに言うがラキは言い返せない。
そしてあっという間のバトルが始まった。
マイは基本的に至近距離でのバトルを好む。だからパワー押しと言ってもいい。

「ニョロボン! みずてっぽう!」
「水タイプだっけ? てことは、こっちが有利! ピーくん電気ショック!」
「こっちが地面技使えることを忘れちゃ困るぜ!」

口と思われるグルグル模様から勢いよく水を飛ばす。
その上を走れといわれピーくんことピカチュウは走り電撃を食らわすが、地面タイプの技が使えると聞いて急いで、逃げて! と指示を出すが至近距離果たして逃げ切れるのか。

「いわくだ——」
「アイアンテール!!」
「言わせろよ!」
「遅いほうが悪いんだって! へへっどーだ! 倒しちゃったもんねー!」

間髪いれずにいうマイの指示を知らないギアは思わずつっこむ。
案外いい奴なのかもしれない、とマイはなぜか思った。
一対二でやるバトルと思っていたが、ちゃんとこちらに合わせてバトルをしてくれるので楽に出来る。

「次は?」
「タッツー、ハイドルポンプ!」
「ひゃあ! び、びっくりしたあ。ピーくんもっかい頼むよ」

クルリと後ろに振り返ると、ギアの子分的存在のリプア。
既にポケモンを繰り出しており、先制攻撃をされたが、タイプがタイプだ。
まだ余裕。そんな時、ギアは自分のニョロボンを見て思った。

(急所を外してくれている?)
「ピーくん! もっかい電気ショック!」
「ちょっまっ! 嘘だろー……」

レベルの差であっという間の勝負。
なぜタッツーがいきなりハイドルポンプを出してきたのかは不明だが。

「……ほいっ」
「ん? なんだ、これ」
「回復の薬! ここセンターの回復のやつ使えないんだよね? さっきビックリしたから買っといて正解だったよ。これで君たちのポケモン回復させてね」

ぽーん、と投げたふたつのものは回復の薬。
バトルが終わったらみんな友達。とでもいいたいのか、何も言わずにラキと前に進んでいく姿を見てふたりは——

「若!」

と異口同音に叫んだ。

「若って言ってますよ? いいんですか」
「恥ずかしいじゃん! 早くいこ!」
「あの、僕も若って呼んでもいいですか?」
「いや」
「頼みますよ〜万能薬あげますから!」

顔を真っ赤にしてラキと話すマイはなぜだか新鮮で。
そしてラキの言った、万能薬とは——アカリを治す薬のことだった。

(——わ、わかったよ……これもバトルのためっ)
(若! どうぞ、これが万能薬です!)
(若って……やっぱ恥ずかしいなあ)