二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.92 )
- 日時: 2011/04/07 20:09
- 名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)
パンドラの箱を開けて
もうずっと前のお話を、また夢見てる——
「おはよう」
「おはようございます、お母様」
寺院の朝は早い。
太陽が昇ると共にスタートをするようなものでいて、幼いアヤノにはキツいものがあった。
「今日もたくさん愛をささげましょうね」
「はい。愛を……」
この家族は何故だか"愛"につよいものを感じる。
家族愛、友達愛、恋人愛……それは個人に送られるものの愛。
しかし、この家族はすべてに愛をささげようとしている。
(私だけには、向けれられない愛)
小さな頃から全てのものを愛すると誓わされ、個人に対しての愛を要求するなんて許されなかった。
(誰でもいいから、私だけを愛してほしいわね)
望みを聞いてほしい、かなえて欲しい。
もちろん、家族はアヤノを愛している。平等に。他人とも平等に。
それは屈辱的なものも感じられるかもしれない。
だから、こそアヤノは抜け出したかった。
「やっぱり二次元よね……はあ」
なんとも悲しいことにアヤノは二次元という世界にはまってしまった。
この世界だけなら、私だけを見てくれる。なんて勘違いをしている。
女の子同士の友情は素晴らしい。男の子同士の熱い友情も素晴らしい。
私もいつか、この女の子たちのような素敵な——
ここでアヤノは決定的に道を踏み違えてしまう。
(素敵な恋がしたいわ——女の子と)
誰にも告げずに、とはいかずにアヤノは二次元のように自分を好きでいてくれるひとを探したいと言った。
もちろん嘘を言えるわけのないアヤノの目は真っ直ぐで、反対をしようとした両親も
「これは、一種の愛なんだね。それなら我たちも見直さないとな」
「アヤノが決意を示したのは初めてで母さん嬉しいわ。行きなさい、アヤノ」
そう言って、アヤノは家を出た。暖かい家族の愛を背負って。
二次元にはまってしまう前からジョウト地方で凄腕のボランティアさんがいるという話を聞いた。
これも愛なのかな? と興味で見ていたアヤノは、男女問わずに関りももつ、凄腕——クリスタルに憧れを抱いた。
なんとも忙しいひとである。
(まずはクリスさまに弟子入りを、それから私をすきでいてくれる……)