二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

無神論少女と神様。壱【亜風炉照美】 ( No.1 )
日時: 2011/04/07 21:11
名前: 緋舞 (ID: 6Q1uGoC5)

「かみさまは、いないんだよ」

 そうだ、地球は神様がいなくても廻ってるんだ。だから、神様なんて居ない。神様なんて、要らない。ねぇ、そう思うでしょ? でも、照美は神様なんだって。あふろでぃーて。美の神様、だって。
 ……でも、それはあくまであだ名なんだから、……。

「でも、照美は綺麗だよね」
「ふふ、有難うね」

 さらさらと照美の髪を撫でて笑う。本当に照美は綺麗だなあ、と思うんだ。同性の僕だって見惚れそうな位に、ね。
 ふわふわと揺れるカーテンを横目に、さらっと揺れる照美の髪を見つめて。僕はスゥ、と小さく息を吸う。

「……はるのにおい」
「?」
「春の、あったかい匂いがする」

 そう笑みを浮かべれば、照美はクスクスと笑う。
 舞い込んできたのは綺麗な桜の花弁と、桜の匂い。

「……これは亜美みたいだ」

 桜の花弁を手に取り、目を細めて笑う照美。何だか照れてしまう。
 だけど、僕はそんなに綺麗じゃないと思うんだよね。

「ね、照美」

 くす、と悪戯めいた表情を浮かべれば、僕の手招きするままに耳を寄せてくる照美。
 そしてそっと囁いた。

「僕の神様は照美だけだよ、」

 ちゅ、と軽く頬に口付ければ照美は照れたように笑う。
 だけどやられてばかりじゃない様で、不意に僕を引き寄せた。

「僕のお姫様は亜美だけね?」

 それが何だか気恥ずかしくて、耳まで赤くなってしまう。
 くすくすくす。
 止まない微笑ましい笑い声が聞こえてくるそんな日も、僕にとっては楽しい日常で。



無神論少女と神様。壱/*
( ほのぼの時々甘甘。普段の二人は甘くないほのぼの。 )