二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【石榴とレゾンデートル.】 銀魂 ( No.9 )
日時: 2011/06/26 15:29
名前: 如月葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode




01 【きれいなものだけ見ながら生きていこうだなんて】






少なくとも、汚いとか綺麗だとかそんなの全部見てきたし、ちょっとばかしわからない事もあるけれど大抵は世間の善し悪しもわかっているものだと思っていた。大人から常識を教えられて、選択すべきことも信じるべきことも1択で教えられた。それを疑おうともしなかったし、それが真である、という根に基づいて考えていた。結論から言うと、浅はかだったのだ。ただそれしか信じる物がなかったからそうしただけであることに、わたしは、そんな簡単なことに気が付いていなかったのだ。


 
「アルバイト募集。年齢問わず。自給750〜900円。業務時間午前9時から午後7時。待遇昇給有、昼食付き、バイク通勤可。主な仕事は事務等。万事屋銀ちゃん。」
 
今にも食い破りそうな勢いで見つめ続ける。安っぽいコピー用紙に黒のマジックペンで荒く書かれた社員募集の張り紙だった。ある日を堺にぽつんと2階のシャッターに貼られた白い紙を、何の気なしにぶらぶらと歩いているうち発見してしまったのだ。ただし、だ。わたしはまず働けるのだろうか?履歴書?事務?残念な頭しか持ち合わせていないわたしが?例えるのも恐ろしい。
ただ幸運な事も多い。まず、上の階の方とは一応「お知り合い」というコネを持っている。お知り合いというよりは一方的に家を破壊しただけなのでいささか迷惑だが。お登勢さんの職場とも近くまさに顔見知りホールド。賃金が得られればあわよくばアパート・・・いやいやそんなのあるの?いやちがう、お世話になっている分あのクソバ・・・お登勢さんに食費や光熱費を払えるという利点が出来る。しかもあのクソババアに扱き使われなくても毛ほども問題が無くなる!
 
よし、ここは下の階に引っ越してきた市ノ瀬ですけど作戦で行こう。従業員居るらしいから多分坂田さんよりそっち出るよね。あらお知り合いなんですかと言われたらもうオールオーケーだ!
  
ドアの前でスタンバイ。準備OK?よし大丈夫吸って吸って吐く!すーすーはーすーすーはー。
勢いよくドアを開く。景気の良い音に余所行き笑いを浮かべながら。元気な声で。
「すみませーん!社員募集の張り紙見て来た市ノ瀬ですけどー!」