二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ曲小説集】色蝶の行く先ぷらす参照800超え!!? ( No.269 )
- 日時: 2011/05/22 15:27
- 名前: 藍蝶 (ID: 3i70snR8)
- 参照: 洗濯バサミが必須品になってきました。愛love・洗濯バサミ!
Φ第3話
『食らい尽せこの世の全て!どうぞヴァニカ様お召し上がり下さい!今日のメニューは特別製で御座います!』
「ふふ、美味しそうじゃない!あのシェフの青白い毛髪なんて、オードブルに添えるサラダにピッタリ♪」
「これ、肉無くなったわ。さげて頂戴?」
「分かりました」
「もう、今日の昼食分は無いの?」
「「申し訳ございません、ヴァニカ様………」」
「ねぇ、ミーシャンちゃん、イーシャン君………ずっと思ってた。君達双子は、どんな味なの?」
ヴァニカは薄く笑い双子の使用人に話しかける。
それに合わせるように双子はニヤッと笑った。
「試してみます?」
「えぇ♪」
「ミ—シャンのお肉、きっと美味しいから」
「承知の上よ。この国では、金髪なんて珍しいもの♪」
数分後、帰って来たのは少しだけ焦げて服を着た良く出来た二人の丸焼きだった。
「ねぇ、ご飯は、まだなの?椅子、食べてるから早く持ってきてよね」
<ガリッ………ゴリッ………バキィッ………>
いつしか、コンチータ家はもぬけのからになっていた。
今残っているのはヴァニカ嬢只一人。
シェフも使用人も誰一人いない。
「もうっ!何時までも家具じゃあ、飽きちゃうわ!」
それでも彼女は、求め続けた。
「究極にして、最高の悪食は………一体どこにあるの!?」
<パリンッ>
「…………あ!」
ヴァニカは皿を割ったその右手をじっと見つめて、こう言った。
「マダタベルモノアルジャナイ」
ヴァニカはそのままナイフを右腕に突き刺そうとしたが、とある事を思い出した。
《ねぇ、まだご飯出来てないの?》
空腹のヴァニカは言う。
《しばしお待ちを。肉は焼いた方がきっと美味しいですよ…………—————————————————》
それは、ヴァニカがまだ幼い頃、先日食したあのシェフが言った言葉だった。
「そう、生肉は不味いから、焼かなきゃ!」
ゆっくりとテーブルからテーブルクロスをはぎ取り、暖炉の火に近付けた。
移ったその火は布を瞬く間に飲み込む。
「私の下に置けば炙れるのよね」
そして、火の点いたテーブルクロスを柔らかく紅く染まった絨毯に、落とした。
「うわぁぁぁぁぁ!!コンチータの屋敷が………火事だぁ!!!」
「逃げろッ!あんなに炎が大きいとコッチまで火が来るかもしれない!!」
「フフ、私ガ、私ノ望ンダ悪食…………♪」
大きく焼け焦げた屋敷。
その中から聞こえる不気味な声。
肝試しに行く子供達。
帰ってこれなかった者も少なくない………—————————————————————————————
「♪コンチータの最後の悪食
食材はそう 彼女自身
食を極めた その体の
味を知る者 もう既にいない♪」
とある時計塔。
回っている紅い歯車。
誰かが歌う誰かの生きざまの歌。
「紅い歯車が、回り始めたか。グラスはあのコンチータを魔の手に落としたのだな………」
歌声の近くに潜む、低い声。
さぁ、誰だろうか。
Φ第3話 終わり