二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ曲小説集】〜本日晴天なり〜 ( No.30 )
日時: 2011/04/17 11:18
名前: 藍蝶 (ID: 3i70snR8)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

第7話 ココロ


『やっ………まだ、死んじゃ駄目だよ!!』


一面漆黒の世界で叫ぶ少女”メグ”。
彼女の周りには少しだけ白い空間が広がっているものの、それは全て黒に飲み込まれても可笑しくない程
弱々しい物だった。


『この子はにね、何時までもウジウジしてるから愛想つかしてあたしがあの子の声で言ってやったのよ。あの言葉。』

口の先端を少しあげ、二ヤリと笑う”グミ”。
彼女達をココロに宿す主は今、自殺方向へと向かっている。

『だからってそんな………!これは、この子の問題よ!?』

白い空間がじわじわと消えてゆく。それに焦りを感じているようだ。

『愛も欲も分からずに放った言葉はそれ?笑っちゃうわ。』

そんな事をいいながらも顔は笑っていない。むしろ真顔に戻っていた。

『……思いやりだって欠けてる。交尾だって形だけ。それは貴方と同じね。ワタシは……それでもいいから!!!』

必死の顔で抗議をするが、”グミ”はまたニヤッと笑い、”メグ”に向かって右手をのばす。
その途端、残っていた白い空間が、消えた。


辺りは、漆黒に包まれた。


『この世界ではあたしの方が優勢!!消えろ!!!』


”グミ”が叫んだ途端前後左右から黒光りする巨大な矢の様な物が”メグ”に襲いかかる。

それを”メグ”は一つ一つ交わしていくが、動きが若干鈍い。
この漆黒の世界は”グミ”の領地と化した「悪」。
「悪」の中に「善」は生きる事が出来ない……訳でもないが、体力の消耗が激しくなる。
逆に「悪」は力を増すのだ。

           ————————ズドッ———————

鈍い音が響いた。

一つの矢が”メグ”の腹部に突き刺さったのだ。

役目を終えたかの様に全ての刃が消える。
突き刺さっていたのも含めて。

”メグ”はその場の崩れ落ちた。


『最初からこうすりゃいいのに。』

何処から持って来たか、あるいは先程と同様作りだしたか、右手に鋏を持っていた。

『………愛したって……言うのですか?あの子……秀を』

独り言のように呟いた。

『ずっと他人にしがみついて、不必要になったら藻掻いていたというのに?』

どんどん、”メグ”に近づいてくる。
鋏を持っている手に力を込め、”メグ”の上にのる。

『殺したって………いいじゃな……いか?』

その声は微かに震え、”メグ”の頬に生温かい水を落とした。

『!!』
『君が………嫌う、アタシなんてぇぇ!』

目を覚ました”メグ”の先にいたのは
鋏を振りかざし、
自分の上にのって、
泣いている”グミ”。

”メグ”は”グミ”の手をそっと握った。

『!』

力が抜けたようで、”メグ”は立ち上がる。

『愛したっていいじゃない?』
『……え……?』
『誰にも縛られず、愛すのは、悪い事?』

”グミ”は、違う、と言わんばかりに首を横に振り、立ち上がった。





途端に、黒い空間が崩れ始めた。

『!グミ、逃げよう!!グミはこの空間じゃあ生きられない!!!』

黒い空間が崩れ始めたというのが意味するのは、まさしく白い空間が広がるという事。
「善」は「悪」の空間でも少しは生きる事が出来たが、「悪」は「善」の空間で生きる事が出来ない。

それで”メグ”は”グミ”を逃がそうとしているが、”グミ”はまるで地面に根を生やしたように動かない。

『これも運命じゃないか?』

やっと、”グミ”が口を開いた。

『え?』
『あたしが消えるのは、運命。あたしは、崩れ去る。もう……迷惑かけられない。』
『そんな……!今なら逃げれる………』

”メグ”は、言葉を止めた。
少し考え、口を開いた。

『分かった。グミがそういうなら。最後に……』
『分かってるよ。』
『そう?じゃあ』

そういって二人揃って深呼吸をする。

『アタシ達は!』

『例えいなくなっても!』

『永遠にあの子を!』

『愛する事を!』



『『誓う!!』』


そう叫んだ途端、”グミ”は……消えた。


第7話 終わり


*作者息抜きすぺーす*

はいおはよーさん。藍蝶です。
う〜ん。最後、ベタになったww
8話か9話くらいで完結します^^
あら、文字数1600超えたわw