二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ曲小説集】色蝶の行く先ぷらす*悪ノシリーズ連載中* ( No.343 )
- 日時: 2011/05/28 23:11
- 名前: 藍蝶 (ID: 3i70snR8)
- 参照: カッターが手放せなくなってきますたwww絆創膏絆創膏……
ф第4話
今向かっているのは、大橋のすぐ近くにある布屋。
とてもいい質の布を取り扱っているので、コチラの売れも上々。
店は小さいが、下手に大きな所へ行くよりずっといい。安いし。
私はそこで、綺麗な綺麗な緑の布を買った。
あの店にしては少々値が張った物だが、それ程良い品なのだろう。
その布を抱え、ジッと見つめては微笑む。良い買い物をしたな。
今日は良い天気だ。夏だから、凄く暑い。
そんな時、人混みの隙間から、愛する貴方を見つけた。
私は俄然喜び、駆け寄って、今日とても良い布買ったのよって、言おうとしたのに。
隣には、髪の美しい女が一人。
落ち込んでいる様に橋の端に肘ついている貴方に、寄り添っていた。
また、あの人は浮気をしていたんだ。
もっと近づいて、よく見たかったけどバレたら離婚を申し込まれるかもしれない。
何より、人混みが邪魔をする。
それでも何となく二人の会話を聞きとろうと、少しでも近づく。
「あれは…………だったのよ。だか…………で」
「でも……?……は…………たんだよ」
人が多すぎて、上手く聞きとれない。
少しでも近づこうとすると、逆に押し返され、遂には町の外れに流されてきてしまった。
だけど、仕事は頑張らなきゃ。
何時の間に置いたのか、一枚の紙切れが戸棚の上に置いてあった。
『緑の布で、帯を縫ってくれ 斬丸』
たとえ貴方の浮気相手へのプレゼントでも、頼まれたのなら、銭を置かれたのなら、縫わなくちゃ。
鋏を片手に、帯の型を切っていく。
暖かい水を眼がら流し、赤く腫らしながら。
一針一針、丁寧に縫う。
その日の、夜。
「貴方は、誰?」
月の照らす誰もいない筈の大通り。
二人の人物が対峙していた。
緑の帯を巻いた女と、
月の光に照らされた裁縫鋏を片手に二ヤリと笑う、女が……————————————
「号外ー!号外だよーー!!2丁目の大通りで、女が殺されたよー!」
また、別の瓦版売りがこの町はずれに来ていた。
にしても、連続で女が殺されるなんて……
私も気をつけなきゃね。
床から出ようと体を起こす為布団の近くに手をつくと、何か薄い紙きれが。
『帯の事は済まない。お前が貰っておいてくれ 斬丸』
あぁ、せっかく寝る間も惜しんで縫ったのに。
少ししか、寝てないのに。
置いていた緑の帯に手を伸ばすと、糸の切り残しに気がついた。
傍らに置かれたいた裁縫鋏を手に持ち、その糸を切る。
帯には、鈍く光る赤い液が一か所に、少しだけ染みた。
今日は、昨日と打って変って大雨。
たまにはこんな時の散歩もいいだろうと番傘片手に、家を出た。
家を出てすぐ、とある簪屋に目をつけた。
それ程目立つ店でもないが、私の足は吸い込まれるようにその店へと誘わせた。
いざ入ってみると、簪屋だけあって簪、簪、簪。
派手で凄く目立つ物もあれば、質素な明らかに庶民用、な物も置いてあった。
いろんな種類の簪を見上げているうちに、誰か二人、入ってきた。
それは黄色い着物を着た小さな女の子と、
愛する貴方でした…………———————————————
第4話 終わり