二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ曲小説集】色蝶の行く先ぷらす*悪ノシリーズ連載中*  ( No.385 )
日時: 2011/05/31 21:03
名前: 藍蝶 (ID: 3i70snR8)

∞第1話


「ホントにミクリア一人でいけるのか?」

心配そうに女に話しかける男、カイン。
ソファに座り、苦い顔をしている。

「大丈夫よ、子供じゃないんだから。夜の道くらい一人で歩けるわ。貴方の為ですもの」

茶色いバスケット持ってニコッと笑う女、ミクリア。
木製のドアの前でドアノブに手をかけている。

「済まないな……足を痛めたせいで……」

ソファに座ったまま右足をさするカイン。その足にはキツく包帯が巻かれていた。

「気にしないで?こうゆう時こそ好きな物食べなきゃリハビリの気力もでないってものよ。じゃ、いってきます!」

元気いっぱいに、まとめてしまえば無邪気に家を飛び出し森へと向かうミクリア。




それから数十分。


「ここで、合ってる……のよね?合ってるならマイモスの実が実っている筈なのだけれど」

探す様に辺りを見渡すが、暗闇の中なのでよく見える視界は限られている。


《ねぇ、スバル。今日は女の人が来てるよ?誰かなぁ》
《ミリディは、そんな事も、知らない、の?いつも、来る、カインの、妻》
《へぇ〜、僕知らなかったや。ガルヴィ様が制限さえしなければ……》
《ガルヴィ様の、せいに、しない。僕だって、制限されてる。だけど、知ってる》
《う〜、スバルどこからそんな知識仕入れてるだよぉ〜》
《企業、秘密》


とある大木の枝の上にコマドリとシマリス。
何かを話しているようだが、あいにく普通の人間には聞こえる事のない喋り声。
彼等は、精霊なのだから。


「む〜、なっかなか見つからないな〜。探索《サーチャー》的な魔特性があったらなぁ。あいにく私は小治癒《スモール・ヒーリング》だし」

手探りで落ちている実を探すが、偶に掴むのは小さな小石。

「もう、めんどくさいよ〜。翠があればいいのに〜」

遂にはしゃがみ込んで、漁った所をもう一度漁る様になってしまった。


すると、少し近くに月の光で照らされて光る物を見つけた。

ちょっとビクッとして、落ち着いたところで、ソッと駆け寄ってみる。


木の根元にもたれかかる様に置かれていたのは、二つの赤い果実。

うっとりするほどアカイ果実。

「(そうよ、マイモスが取れなくても、コレを持ってかえればきっとあの人も喜んでくれる筈……!)」

二つの果実を抱え、私は走り始めた。

「(これはキット神様からの贈り物なんだわ。放って帰ったらきっと、罰が当たっちゃうのよ)」

走っているうちに自然と笑みが零れる。

「(持って帰れば喜ぶかしら?ふふ、嬉しすぎて、泣いちゃうかもしれないわね)」

よく見れば今日の月は何時になく綺麗な満月。
光を頼りに、早くハヤク、お家へ帰ろ。

第1話 終わり