二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ曲小説集】色蝶の行く先ぷらす*悪ノシリーズ連載中*  ( No.422 )
日時: 2011/06/10 17:34
名前: 藍蝶 (ID: fjkP5x2w)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

∮第5話


あれから、何日経ったのかな。
ずっと、トラックに揺られて、過ごした。
幸いにも段ボールの中に入っていたのは食べ物(らしき物)。
形が変だったり妙に砂糖がついてたりしたが、とても美味しかった。

途中で止まってはまた走り続け、実際には一週間かかっていた。
ずっと座ったままだったせいか、上手く立ち上がる事が出来ない。

「(それ以前に、揺れてるから立ちにくいし)」

すると、突然トラックが急ブレーキをかけた。


              <キキィィィッ!>

その途端、ドンッという鈍い音がして……茶色い段ボールが紅と黒に、染まり始めた。

このトラックは事故に巻き込まれたのだ。

「(ヤ、ヤバい……!)」

私はその衝撃で空いた所から、何とか体を捻じらせ脱出。
四つん這いになって出来るだけトラックから離れた。
振り返れば燃え盛る炎。酷い……なぁ、

その時、誰かに声をかけられた。

「お嬢ちゃん、君……?」

逆へと向けば眼鏡(という物らしい)をかけた男性がいた。

「えと……わた、し……」

いきなり声をかけられたものだから、オドオドとした返事しか返せなかった。
そんな私をかまわず、男性は続ける。

「火傷、してるね。家すぐそこだから少しでも冷そう。……立てる?」

フルフルと顔を横に振る。火傷以前に立てない……
すると、男性は私に手を差し伸べてくれた。

「ほら、掴まって掴まって」
『ラヤったらまた怪我?ふふ、ほらぁ、掴まって掴まって』

男性の言動と笑顔にお母さんが重なる。
けれど、それはすぐに消えてしまった。

待って……いなくならないで……!

私はお母さんを掴み取ろうと男性の手を掴み、ゆっくり歩き始めた。


∮第5話 終わり