二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ曲小説集】色蝶の行く先ぷらす*悪ノシリーズ連載中*  ( No.437 )
日時: 2011/06/17 20:46
名前: 藍蝶 (ID: fjkP5x2w)

∮第7話

           <ガチャッ>

あの男性が帰ってきた。
何だか凄く疲れ気味な顔で。
ラヤは、すぐ傍に駆け寄る。

「え、えと……おかえりなさい……ですッ!」

多少引き攣った笑顔。これで精一杯なので仕方がないが。

「お前の名前は?」

強張った顔で男性が聞いてくる。

「ラヤ!ラヤ=ティトル!」

明るく元気に答える。名前は、ラヤにとってとても誇らしい物であった。
”ティトル”というのはセブラティオ独特の名字らしく、意味が”セブラティオの幸福を祈る”。
それが嬉しく、今は少し寂しかったりする。

「そうか。なら、お前の名前は今日から日堂ラヤだ」

ラヤの顔からいきなり笑顔が崩れ落ちた。

(日堂ラヤ?ラヤというのは残ってるけど……)

「ティトル、は?」
「五月蠅いッッ!」

           <バンッ>

持っていた鞄を投げつけられた。
先程まで優しい笑顔だった男性は、今は面影もない鬼の形相。

「え……?」
「お前の事は家で預かる事になった。はぁぁ、藍色の髪の時点で気付くべきだったか……」

すると、いきなりこの、日堂さんという人は白い小さな棚みたいな物から瓶を取り出し、蓋を開けおもむろに飲み始めた。
瓶には月音酒と書かれている。どうやらお酒のようだ。

訳が分からなかった。
鞄を投げつけられた上に、酒を飲み始めるなんて。

「あ?何時まで見てんだよ。お前は外で寝な!」

首元を掴まれ、外に放り出された。


もう、どうしていいか、


                    分からなかった。

第7話 終わり