二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ曲小説集】色蝶の行く先ぷらす トリノコシティ連載中  ( No.451 )
日時: 2011/09/04 15:19
名前: 藍蝶 (ID: BEaTCLec)
参照: おーえーあーえーおー、おーえーあーえーおーそーんなことよりおうどんt(

∮エピローグ∮


自分だけ、何か取り残された様な気がした。
誰もいなくて、音さえなくて、色だって無くて、独りなのが余計分かって、怖かった。
夢だと思っても怖くて仕方なくて、寮に帰り一人蹲った。





ずっとずっと現実から目を反らし続けて、見向きする事さえ拒んだ。
真実を知っていても偽りしか言えなかった。


でも知ってしまった。
全部全部知った。
口には出したくなかった。もっと怖くなる。


……私の視界に白い腕が写る。

「?」

そっと顔を上げた。そこには蒼い髪を二つに結った幼い少女がにこにこ笑って立っていた。
誰?
その言葉が喉につっかえて出てこない。

「はい」

とだけ言ってその腕を更に私に近付けてきた。

「い、要らない」

とその子の小さな手を払いのけ、立とうとした。なのに、足が動かない。
このっ、このっ!
駄目だ、何度やっても立てない。力は入らない。
それを見て、また笑った少女はん、と言って再び手を突き出して来た。
少しイラついたが、立てないままではいけまい。
その子の手を掴んでよろけながらも立ちあがった。
ふう、やっと立てた……あれ?
思えばこの子何処から入ってきたの?ドアは鍵をかけてあるし、窓もカーテンも閉めてる。それ以前にここは3階で、警備も薄らとならあるし……
高校生としてはあるまじき想像なのだが、これだけ条件が揃えば馬鹿と言われようが仕方ない。

「ひぃっ……!」

小さな悲鳴を上げて思わず後ずさった。でも少女は強く私の手を握り締める。離せ、離せ、離せ!
ぜぇぜぇ、と息が乱れる程手を振り回した筈なのに、少女は疲れた様子さえ見せない。なんて事だ。
精神的に追い詰められ始めた時、少女の口が開いた。

「貴方は一人では生きられない」
「は!?」

がっちり掴んだ右手で振り回されながら、少女は意味不明な事を言いだした。
疲れとイラつきで、自然と返す言葉も大きくなってしまう。

「腐って食べられる筈もない林檎を何とか食べようと無駄に足掻く」
「な、何……」
「それで食べられない事を理解した貴方は林檎を捨てようとする。でも捨てる事が出来ない。食べられなかった、という未練が大きすぎるから」
「え……はぁ……」
「だったら新しく食べればいい」

そこで少女は一呼吸置いて、また喋り始めた。

「痛み、腐った果実が捨てられないなら新しく食べられば良い。でもそれでは解決出来ない。捨てなきゃ。でも一人で出来ないから困ってる」
「そうね」

ありきたりの言葉を返すけれど、実はちょびちょび引き込まれていた。
隅で棒立ちしながら彼女の声を聞いていた。

「だったら、二人で」

薄ら微笑み、今度は私の右手を両手で握りしめる。

「貴方なら出来るから。一人じゃなくても、出来る。傍にいてくれるよ。『     』と『    』が」

その瞬間ふわっと黄色の優しげな光が私を包みこんだ。
























































「逃げなさい!逃げて、逃げて……貴方だけでも、幸せになりなさい!」


エピローグ 終わり