二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ曲小説集】〜本日晴天なり〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/04/13 16:25
- 名前: 藍蝶 (ID: 3i70snR8)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第3話
「え…………………?」
信じられなかったんだ。
受け入れられなかったんだ。
じゃあ、秀が死んでからアタシが愛していたのは、誰?
アレほどの時間、すべて無駄だったって訳?
秀は………いなくなってしまった。見る事ももう出来ない。
秀と一緒にいると、それに触れていたつもりのアタシだけど、触れてなかったって事?
如何して?どうして?ドウシテ……………?
あの後、考え込んだ末アタシは何も覚えてない。
どうして死んだのかなんて、聞いてない。
ダッテ、考え過ぎて何も言えなかったんだから。
言ってたとしても、多分「はい」とか「へぇ……」とか気の抜けた声しか出てなかったろう。
その後、お母さんから教えてもらったんだ。
「秀君は中学に入ってすぐ交通事故にあったんですって………」
交通事故?あの几帳面なA型の秀が?いつでもすぐ近くでも遠くでも気を配る事のできた、秀が?
そんな事はない。何かが引っかかってボーッとしてたんだ。
仮にそうだとして、何が秀を悩ませた?
勉強か?スポーツか?違う、彼はそんな事で悩まない。
親か?友達か?違う、彼だったら不安になれば電話をいれてくれる。
生活か?ご近所さんか?違う、彼はクールだったけど、とても優しいし、料理だって裁縫だって、アタシより出来る。
じゃあ……………………………………………何だというの?
これしかないよね。
アタシだ。
そう思うのは、いくつか心当たりがあった。
そう、あの時、あの場所。
秀の見送りに行く時。
秀は言ったんだ。
『お前より美人さん見つけたらそっちに行っちまうかもなw』
彼にとっては冗談だったんだ。
滅多に言わない彼の冗談。泣きそうになってたアタシを笑わそうと、彼なりに努力してくれたのかもしれない。
でもアタシは、
『………最っ低!アタシより美人見つけるんならほっといてよ!』
あの時、アタシは何て事言ってしまったんだ。
秀の冗談を冗談と思わず、本気の言葉として受け止めてしまった。
あまりにも「彼は冗談なんて言わない人」という勝手なレッテルを張ってたのだ。
アタシは勝手に勘違いして怒り、挙句の果てに、秀にビンタを一発お見舞いさせ走り去った。
今思えば、そこまでしなきゃよかった。
でも、本当に許せなかった。彼にアタシ以外の彼女が出来る事を。
それ程、君を愛していた……………………………というのに。
第3話 終わり