二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ曲小説集】色蝶の行く先 ぷらす オリキャラ募集! ( No.64 )
- 日時: 2011/04/27 15:45
- 名前: 藍蝶 (ID: 3i70snR8)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第5話
今日も僕は黙々と刑務所の雑草を抜く。
………のが普通だが、僕はあの子を待っている。
いつも、いつも、紙飛行機をくれるあの子。
最近あまり顔を見せなくなったあの子。
少しでも気を紛らわす為、雑草抜きをしていると言っても可笑しくないのだが、ちっとも捗らない。
ずっと、ずっと抜いているのに。
僕より大きい壁の様な雑草の山が二山もあるのに。
蟻地獄にでも囚われている気分。
囚われている身だけど。
ザッ……
ふと、草を踏む音がして振りかえる。
白い帽子、桃色のカーディガン、白いワンピース。風で靡く金色の髪。
そして当たり前のように紙飛行機を握る彼女。
でも、いつもより凄く息切れが激しい。
そんな事に僕は気付かず、満面の笑顔を咲かせた。
「あ!来てくれたんですね!」
手に束ねていた雑草さえ投げ捨て、僕は彼女の出来るだけそばに駆け寄った。
その時の彼女は、いつもの優しい笑顔ではなく悲しみを込めた笑顔でいた。
そんな事に構わず、僕は言葉をつづけた。
「すいません、最近何だか警備をきつくなっちゃって、手紙書けなくて……」
本当の事だ。
最近刑務所の見張りが厳しくなってきた。
おまけに僕ら囚人が何か書いてると屈強な男が必ず
「それを見せろ」
と言ってくる。
御隣の住人は先日それに掛かって何処かへ連れて行かれた。
何時も狂っている様な人だったけれど、その時はやけに暴れていた。
何処に行ったかなんて、知ったこっちゃない。
僕は彼が叫んでいる間ずっと耳を塞いでいた。
彼女は、僕が発言した内容のせいかは知らないが怪訝そうな顔をして、すぐ元に戻りこう言った。
「ぁ……ぃ、いぃんです……^^」
そうして、紙飛行機を思い切り飛ばした。
僕はそれを受け取り、おもむろに読み始めた(見つかるといけないので、最近は此処で読んでいる)。
その内容は、まさに地獄への招待状だった。
「ぇ………?」
彼女が手紙に書いた内容。簡単に言えばこう。
『遠くに行くのよ。だから、バイバイ』
僕の笑顔は焦り顔に変わっていった。
「ど、どういう……事ですか?遠くに行くっ……て……」
思った事を言葉にして僕は続ける。
「遠くって……何ですか……?」
「遠く」の意味なんて、知ってる。
問題は何処なのかだ。
「そのままの……意味、ですよ。」
だから、場所を知りたいんだ。
冷たく言葉を言い放った彼女に、反論が出来なかった。
言おうか迷っているうちに、彼女は言う。
「だから………さ、サヨナラ………」
このままでは彼女は行ってしまう。
僕は何も言えずに、彼女は行ってしまう。
だから、
「待つよ!!!」
彼女はビクッとして振り向く。
「いつまでも待ってる……!君が来るその日まで!」
ヤバい、半泣きになってきた。でも、言わなきゃ。
「手紙……大事に大事に持ってたら、また、会えます……よね?」
最後に、精一杯笑った。
彼女も、微笑み返してくれた。
そのまま後ろを向き、去って行った。
途端に涙があふれ出す。
あぁ……苦しみながら生きてきて、これほど泣いた日は無い。
どうして、別れなければいけなかったのだろう。
ドウシテ…………………————————————————————————
その後、彼女が去って行った方向から救急車の音と、
男の人の叫び声が聞こえた。
第5話終わり
*作者息抜きすぺーす*
こんちわ。藍蝶です。
実はですね、これの記事書いてる途中2回消えたんです。
一回目は789文字で。
2回目は1000文字超えた奴。
これ三回目です。
二日程更新しなかったでしょ?どちらとも心折れた状況だったんです。
でも、一日で立ち直るという事は大人になったって事ね←
それではさよーなら〜♪