二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 悪ノ召使〜「君の笑顔を守るためならば」〜 ( No.117 )
日時: 2012/06/29 20:41
名前: 鏡猫 (ID: vDb5uiaj)

第3話 緑の国の娘

「あれ、あの人…カイト王子?」

レンがあの娘の事が気になり後ろを振り向くと、そこには青の国の王子がその娘と一緒にしているのが見えた。
その様子をみていて、きっとカイトは、あの娘の事が好きなんだろうということを察する。
少し、悔しさを持ちながらレンがさっきのお店へ戻ってゆく。
まだ混んでいてあきそうではない様子を見て、レンは店の棚に並んでいる商品を見て暇つぶしをする。

「あれ? まだいたの」

「あ、ハイ。ちょっと忘れてたものがあって。」

「忘れてたもの?」

「はい。えっと、この前たぶんこちらのお店へ注文した物が届いているはずなんですけど。」

「えっと…あぁ、確かになんか届いてたな。ちょっと待ってな」

「分かりました」

そういって、店長は、奥へと入ってゆく。
それから何時間とたったがなかなか戻ってこない。
すると、この店の店員なんだろうか。白い髪をした女の人が奥から出てきて、扉の鍵を閉めようとする。
その姿をじっと見ていると、こちらに気付いたようで話しかけて来た。

「あ、あの…もうそろそろ閉店時間なんですが・・・」

「今、あるものを調べてもらってるんですがそれが終わったらでいいですか?」

「あ! 失礼しましたっっ でも扉の鍵はしめちゃいますね…。お客様が来られたらあれなので」

「大丈夫ですよ」

レンは、その女の人に笑って返事を返す。

「お、あったよ、レン。これでいいのかな?」

奥からやっと注文された品が見つかったのか出てくる。
レンがそれを受け取り、確認する。

「これです! ありがとうございました」

「あ、ちょっと待って。今日は、もう暗いから泊まっていきなさい」

「え? でも…」

「大丈夫」

レンが、店長の優しさに負けて仕方なく一晩泊まることになる。


「昨日は、ありがとうございました」

「いや、いいけど。いいのかい? まだこんな朝早いよ」

「いいんです。ある人を待たせちゃうんで。」

そういってレンは、早々とその店を後にする。
そして、馬車がある場所へ向かい、急いで黄の国へ向かった。
すぐにリンの元へ急ぐと、リンはかなり怒っている。
だが、怒ってるかと聞いても怒っていないと怒られる。
それから、数秒の沈黙があり、部屋に他の召使が入って来る。
その召使が告げた事は、あまりにもレンには、最悪で。

召使や、王女。大臣のお話を聞いている時に、レンの顔は、どんどん青ざめてゆく。
ついには、それが王女にばれ、その緑の娘を殺しなさい、との命令。
レンに、その命令を受理することは、とても辛かったが仕方なくナイフを受け取り、再び緑の国へ

緑の国は、もうすでに火の国と化していた。
あの娘は、無事だろうか、とまずそのことを心配してしまう。
が、すぐにそれは、無駄だということに気付く。
なんといったって、自分の手で初恋の相手を殺さなくてはいけないのだ。
発見できなければいい、そう願いながらそこら中を歩き回る。
しかし、みつけてしまった。
緑の国の森の近く。
井戸の中へと入ってゆくあの娘の姿を。
レンは、静かにその娘が入って行った井戸を降りてゆく。

「誰!?」

「あ…。」

やはり、せまい井戸の中では、ばれてしまう。

「あ、貴方は、今日出会ったおかしな人。どうしてここへ?」

「そ、その………」

「いいのよ。はっきりいって頂戴。」

その娘は、今からレンがいいたい事が分かっているように話を進める。

「す、すみません!!」

そういって、レンは、目をつぶって思い切りナイフをその子へ向けて振り下ろす。

「ふふ、最期まで……貴方は…謝る…のね?」

「そ、それは…だって…」

レンは、目から大量の涙を出す。

「だい・・じょ・・・ぶ・・よ。だから・・・さい・・・あなたの・・・な・・・えを・・・・・」

「なえ…? な、名前、ですか? ぼ、僕の名前はレンです。あ、貴方は…」

レンは、最期に名前だけでも聞こうと必死になって言葉をつなぐ。

「わたし? わた・・・・み・・・・・」

「え。聞こえませんよ。もっとはっきり言って下さい。もっと、はっきり…」

「ありが、とう」

「うわぁぁあああああああ!!!」

それから、娘は何も言わない。
レンは、自分がやってしまった事を悔いた。
たったひとつの命を自分の手で殺してしまった事に。



「そうだ・・・もうそろそろ帰らないと・・・・王女の・・・リンのおやつの時間に間に合わない・・・」



最後に、そう言い残しその場を静かに去っていく。
その娘———ミクの手に自分がその子を殺したナイフを持たせて。