二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: おおかみは赤ずきんに恋をした〜これもひとつの物語〜 ( No.125 )
日時: 2012/09/02 19:18
名前: 鏡猫 (ID: FIlfPBYO)

第2話 小さな赤ずきん

「あーあ。今日もいい天気」

そう一人家で呟いた少女————リン。
森の近くに家が建っていて母との2人暮らし。

「おばあちゃん、元気かな?」

リンのおばあちゃんは、森の中に家が建っている。
歩いて10分くらいの場所だ。

“コンコン”

扉をノックする音。
今は、リン一人なので誰だろうと思い扉の前にいき、開ける。

「誰?」

扉の目の前にいたのは、腰にいろんなものがくっついており、
手には銃を持っている。
きっと狩人だろう。

「最近、一匹の狼がここらへんに降りてきたんだ。だから、森では出歩かないようにね」


「でも、おばあちゃん家が森の中に…」

「あそこの家に住んでるおばあさんは、君のおばあさんだったのか」

「……?」

「一回呼びかけたんだけどね。森の中は危険だから家を移動してって。君からも何かいってくれないか?」

「……嫌だ!おばあちゃんの家がなくなっちゃったら森の中、遊びにいけないもん」

「いや、だからね。それが危険なんだって…」

狩人がリンを説得するが、意地を張っていて納得しない。
そこへ、母が帰ってくる。

「あらあら、どうしたんですか?」

「あの、あばあさんを森の中は危険なので移動するように説得してるんですが…」

「それなら、私が後で説得しとくわ。忙しいでしょう?」

「あ、ハイ。ありがとうござます。」

そういって、やっと狩人は去っていく。
帰ってきた母は、リンを通り過ぎて、夕食の支度をし始める。

「ねぇお母さん。あばあちゃん、本当に移動させちゃうの?」

「そうねぇ。リンは、森で遊ぶの大好きだもんね」

「うん」

「その件については考えとくわ。明日、あばあさんの様子、見に行ってくれる?」

「はぁい!」

「あ、リンの好きなジュース、買っといたからそれ持って行っておばあさんと飲みなさいな。」

「ホント!?ありがとう!!」

リンは、るんるん気分で自分のお部屋に戻っていく。



それから時間はたち、リンがおばあさんの家へ行く準備をしていた。

「あ、そうだ。最近、狼が降りてきたみたいだから見つけたらすぐに帰ってくるのよ。おばあさんの家までついてこられたら大変だもの」

「うん!分かった!!」

お気に入りの赤ずきんをかぶり、大好きなジュースとお花と大きいパンを籠にいれて出発した。
森の中に入ると、リンの周りに小動物がたくさんよって来る。
なぜか、動物達に好かれる体質を持っているのだ。
リンは、集まってきた小動物達にパンをちぎってあげる。
それを小動物達は、仲良くつついていた。

「あれ…?あの木の後ろ…なんかいるのかな?」

自分と同じくらいの大きさの黒い影が巨木の奥に居座っていた。
その周りに小鳥達はいない。

「冷たっ!」

上を見ると、灰色の雲がかかっていて今にもザーっと振りそうだ。
歩いてまだ3分くらいしかたっていなかったが、傘を持ってこなかったリンはすぐに家へと帰る。
それから傘を持っておばあさんの家にいくのもよかったがあえてリンはいかなかった。