二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: おおかみは赤ずきんに恋をした〜これもひとつの物語〜 ( No.126 )
日時: 2012/09/24 21:03
名前: 鏡猫 (ID: FIlfPBYO)

第3話 黒い狼

一人で山を下りてきた。
仲間がいないから一匹で降りてきた
ここに、懐かしい匂いがしたんだ
ふと空を見上げると曇っている。そして雨が降るような不思議な匂い
一匹狼のレンはよさげな巨木を見つけてそこへ座りこむ
容姿は、人間に近いものの狼のような耳にしっぽ。
そして、長く鋭い爪。誰が見ても狼と疑わない容姿をしている
所詮、近いだけでほぼ狼の格好なのだ
「………?」
何か違うものの匂いがして立ちあがって隠れながら匂いのほうへと向く
そこに赤いずきんをかぶった少女がこちらへ向かって歩いてきていた
ずきんのせいで、顔はよくみえないけど何かひきつけられる何かがあった
無意識に一歩を踏み出そうとすると遠くで小鳥達がばぁっと飛んでいく光景。
踏み出そうとした一歩を元に戻す
森の中には獣が捕らえる狩人がいる。どこに潜んでいるのかもわからない
下手に出ると殺される
レンは、それを充分に理解していた
ポツンと雨の雫が大きな鼻にあたる
もう一度その巨木に体を預けて座りこむ。少女は、もうその場にいなかった
狼はしばらくその場で座っていた
日が暮れて雨もやんだ頃、狼は動き始める
生きていくために狩りをするのだ。


そして、1日がたってまた同じ時間にレンは同じ巨木の下に座りこむ
きっと来る。今日もきっと。
そう思って座りこんで待っていた。
すると昨日と同じくらいの時間にその少女はやってきた
レンは、その場をじっと動かずに静かに少女を見守る
何もしないし動かない。動けない

それからも毎日、毎日、少女はこの道を通ってどこかへといく
その旅に狼もその少女を見守る

話そうとしないし、会いに行こうともしないし、だから触れたいともしない
思わない。思ってはいけない
それは終わりに続くシナリオ。
運命は変えられない。会ってしまったらそれで終わりなのだ
だから何も望まない。

どこかへ遊びに行く少女とその少女を見守る狼の関係でいいのだ

そう関係じゃないといけないんだ

考えたって考えたってどう考えたって2人が結ばれる物語なんて用意されていない

誰もそんな物語、望んでいないから。