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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: おおかみは赤ずきんに恋をした〜これもひとつの物語〜 ( No.129 )
- 日時: 2012/10/14 17:04
- 名前: 鏡猫 (ID: FIlfPBYO)
第5話 震える体
リンはその話を黙って聞いていた
いつもの好奇心満ち溢れる顔ではなくて、嫌なものを聞いた顔で
でも、その話を中断させる事はなかった
話の終末を知りたかったからかもしれない。
「・・・おしまい」
「……」
話が終わってもなお、リンは黙り続けていた
その物語があまりにも今のリンとレンの状況に似ていたからだ
もし、あってしまったらあの狼さんは消されてしまう
絶対にあってはいけない、という事を心の奥深くに誓った
でも、悲しかった。もしかすると、リンはレンに恋をしていたのかも知れない
「もうそろそろ暗くなるから今日はここまでにしようか」
その言葉を聞いてリンはハッとなり元気よく頷いておばあちゃんの家を出た
あかいずきんを深くかぶって巨木の下に座る
体は震えていた。目からは大粒の涙があふれ出てきていた
反対側には、いつも通りまだ帰っていなかったレンがいた
レンは、リンが反対側に座ったのに気付く。
リンは、レンが反対側にいるのを気づいていない
レンが立ちあがってどこかへ去ろうとしたのだろうが、また座りこむ
又、レンもリンに恋をしていたのかもしれない
話しかけようとしても話しかけられない
話しかけたら自分を殺す事になる。それを分かっている
慰めようと伸ばした腕をひっこめる。触れようとするたびに震える体
関わりをもとうとするたびに震える体
だから、ただ反対側で座っているだけにした
リンの涙がやむまでずっと…ずっと…
ひたすらに涙がやむのを願って———
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