二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 罪と罰〜「キミが罪でボクが罰だ」〜 ( No.138 )
日時: 2012/12/06 19:47
名前: 鏡猫 (ID: jJL3NZcM)

第5話 最後の言葉

「もしも、君が———」

はは、何言ってるんだろう、僕は
今更“もしも”なんていったって何も変えられないのにね
バカみたいだ。いや、みたいじゃない。バカなんだ
君がいなければ僕はただのバカ

君が目覚めたらどうしようかな
自分で繕ったクマのぬいぐるみを自慢しようかな
どうせ「下手だな」って言われて終わりか
でも、そんな言葉くらいでも僕は欲しいよ。たった一言でも掛けてくれたっていいじゃないか

本当は分かってる。全部分かってる。
これが自分を守るための行為なんて。でもこうでもしないと……
ずっと君は僕を見てくれないでしょ?
たとえ妄想でも見てくれる。本当にバカだな、僕は
こんな事して何が嬉しいんだろう

もう、君の事を嫌いになるよ……
だってこんなに心配してるのに一度も目覚めてくれないんだもん
それっておかしいよね、僕を心配してないのかな………
僕が君のことを嫌いになったら君は愛してくれるかな
目を覚ましてくれるかな

君に愛されない僕なんていない。いらない
君を嫌いになる僕なんていらない。いない

ここに僕は存在しちゃいけないの…?
ねぇ教えてよ。今にも心が折れそうだよ、壊れそうだよ


“ねぇ痛いよ”






“もしも君に耳があったらこの歌を聞かせてあげられる。もしも君に心があったらこの好きで包んであげられる”

ずっと眠っている間に聞こえてきたその声は懐かしく悲しい
ボクは、もうそう長くは生きられない
だったらせめて最後にキミに最後にこの言葉を伝えたい
この気持ちが分かるか…?

ミクが家出して一緒にその家出を手伝ってしまったばかりに
ボクがぬいぐるみを買ってあげたばかりに
キミがこんなにも悲しんでいると思わなかった。苦しんでると思わなかった
でも全部ボクのせいなのか…?違うよな
キミにも罪はあるよな。だから、ボクが罰を受けるから君はボクと言う名の罪を背負って生きて欲しい


『お願いです神様』

『『死ぬ前に彼女に言わせて下さい/死ぬ前に彼の言葉を聞かせて下さい』」







「レン…?」


—嘘みたいだ








「キミの耳なんていらない。キミの心だっていらない。
君がそうやって苦しんでる顔が見れたらいいよ—————」







「レンッレンッ」






今、確かに声が聞こえた
レンの声が聞こえた。君が僕の“苦しんでいる顔”がみたいならみせてやる
そんなにみたいなら見せてやる
それで君が僕を愛してくれるなら。








それからレンは、静かに永遠の眠りについた———