二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 歪んだ歯車〜崩れていく兄妹〜 ( No.13 )
日時: 2011/04/25 21:09
名前: あかっち ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)



「……ご馳走様」

「あら?茜、もう終わりなの?」

「今日、あんまりお腹空いてないから」

「……そう。ちゃんと片付けてね」

「分かってるよ」


晩ご飯。

少し残して、席を立った。

理由はただ一つ、隣に兄さんがいるから。

一緒にいたくない。

私の事を裏切った人なんかと……




大っ嫌い。兄さんなんて。









明日は水曜日。

中二の私は、学校へ行く日だ。

でも、行かない。行きたくない。

あの場所は、地獄同然。


「んっ……」


自分のベッドに倒れこんだ。

部屋の電気なんて付けない。

窓から差し込む、月の光だけで十分だよ。


「嘘つき。世界は、こんなにちっぽけでしょう?」


月へ向かって、手を伸ばす。

当然、掴める訳など無い。

そして、見えた。

服の袖からのぞく、醜い傷跡が。


「!」


手をすぐに下ろし、見えないように隠した。


「もう、嫌だ……!」


目から溢れ出る涙。

もう、尽き果てたはずなのに。

どうして、そんなに出てくるの?

同時に、体の震え。

怖さ、辛さ、裏切られた悲しみ。

せめて、傍らに兄さんがいたら。

慰めてくれたら。



もう叶わない。



兄サンハ、裏切ッタンダ。
















「あ……茜?風呂、沸いたぞ」


ドアから兄さんの声が聞こえた。

その声はか細く、頼りなかった。

何してんの?

もっとちゃんとしてよ。

ほら、そういう所が嫌いなんだ。




返事をせずに、ドアを開けた。

目に入ったのは、兄さんの顔。

とても悲しそうな瞳だった。


「お前……電気つけてなかったのか?」

「それが何」

「何って……真っ暗じゃないか」

「…………」


会話と言えない会話。

目を見ない。

何も言わずに、兄さんの横を通り過ぎた。


「! …………」


横目で、ちらっと兄さんを見た。

悲しそうな、悔しそうな目で、私の事を見てた。