二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *+テニプリ+*君の白い翼 と 僕の黒い翼。 ( No.13 )
日時: 2011/05/30 22:10
名前: うっさー ◆OOs7K0umK. (ID: RAGGUceS)
参照: どーぞ。頑張ってくださいね。(別に、思ってないけど)

*+第4話+*


「あさ、れん」

ピピピピピ、と煩く鳴る目覚まし時計を、苛立ちながら止めると、琉祈は起き上がる。

「だる」
ゆっくりながらも早めに着替えると、琉祈は鞄を取る。
ドアを開ければ、そこには誰もいないリビング。

「いってきます」
基本的に、朝何かを食べることはしない。
前はよく、兄に作ってもらったりしていたが、今はもうない。

高いマンションを出ると、深呼吸を一つ。
此処は、よく分からないが、かなりの階数があるらしい。
琉祈にとっちゃ、自分の部屋以外に興味は無いが。

「あれ、お前は、マネージャー??」
呼ばれれば、琉祈はゆっくり後ろを向く。
そこに居たのは、青い帽子を後ろ被りにしている人。

「あぁ、確か。鳳くんと一緒に居た」
異常にテンションが低い彼女を見て、宍戸は首を傾げる。
「三年の宍戸亮だ、宜しくなっ」
ニカッと彼が笑うが、琉祈の視線は彼の乗ってた自転車。

「ん?? あぁ、俺はいつも自転車で来てんだよ」
乗るか、と宍戸が聞けば、琉祈は無言で後ろに乗る。
「琉祈です。以後、お見知りおきを」
ぎゅっと、宍戸の制服を握りながら、琉祈は目を瞑った。

「んじゃ、朝練に遅れないうちに行くか」
歩きでも遅れないであろう時間に、自転車の二人。
(嗚呼、絶対に早く着くんだろうな)
それでも、歩きたくない、と言う欲には、勝てないのだ。

「………や」
小さく小さく、琉祈が呟く。
「ん?? 何か言ったか??」
宍戸が赤信号で、後ろを向けば、彼女は眠っていた。

「寝言か」
はぁ、と宍戸は溜息を付く。
後ろで眠られていては、スピードが出せない。

「いつもより、遅くなっちまうな」
平部員と打ち合う約束してたんだが、と宍戸は心の中で溜息を付く。
そのとき、ふいに、ぎゅっと、強く服を握られた。

「琉祈??」
宍戸は彼女の苗字を知らない。
跡部は、いつか分かる。と嬉しそうに笑っていった。





「あ、かや。ごめ、んなさい」





宍戸は驚いて、赤信号が青に変わっていくのが分からなかった。




***[部室]


「おはようございます」

さっき着いた琉祈はもう既に着替え終わっていた。
宍戸は、と言うと、琉祈の後に着替え、後輩達の所へ。

(自転車降りたときから、様子変だったけど、なんだろう)
ボールを磨きながら、琉祈は考える。
その間も手が止まることもなく、扉が開けば「おはようございます」と勝手に開く口。

「…い、おい!!」
誰かの叫び声に、現実に戻ってきた琉祈は、そっちを向く。
向けば、相手は驚いてから、じっと見る。

「何か??」
琉祈が不思議そうに、いや、と言葉を濁す相手。
「何ですか、跡部さん」
じっと、待っていれば、相手から聞こえたのは溜息。

「来ねぇと思ったのに、居たから驚いただけだ」
「君が言ったんでしょう?? 朝も来い、と」
「本当に来るなんざ思ってねぇよ」
「“私”も酷い言われようですね。そこまで腐ってないですよ」

イラついてる跡部と、無表情な琉祈。
周りから見れば、異様な口喧嘩、みたいなものだろう。

「りゅーきちゃん!!」
珍しく、朝練に出てきたジローは笑って琉祈の前に出てくる。
「おはようございます」
琉祈は跡部から、ジローに視線を移す。

「あれ、琉祈ちゃん??」
不思議そうに、ジローは琉祈を見た。
「今、起きた??」
ジローの言葉に、首を振る琉祈。

「じゃぁ、」
そこで区切れば、ジローは右手で目尻を触る。
「泣いちゃった??」
真剣にそれでいて、眉を下げてジローが言う。

だが、

琉祈はそれを聞くと、ジローの右手を叩く。
驚くジローと周りの人物。

「私、顔触られるの嫌いなんです」

ただ一言。
それだけ言えば、それじゃぁ、と言ってボールの入った籠を外に持っていく。

(馬鹿馬鹿馬鹿!! 此処では、“騙す”って決めたじゃん)

ぎゅっと、籠を強く握りながら下唇を強く噛む。




















“お、おい!! 泣くなよ、琉祈には俺が居るし、先輩達も琉祈の味方だって!!”





それは、ニコニコと太陽のように笑っている君が、僕の泪を拭ってくれた時に言ってくれた言葉。










***

「口、切れてるぞ」

練習が終わった後、日吉が琉祈に向かって言う。
琉祈は、右手で拭ってから、あ、と薄い反応。

「あ、ってお前なぁ」
隣に居た向日は、溜息混じりに言う。
「お嬢さん、大丈夫か??」
忍足が聞けば、直ぐに琉祈は頷く。

「こんなの暫く経てば、消えちゃいますよ」
平然と言う彼女と、心配顔の周り。
「俺らが気になるんだよ」
宍戸は言うと、タオルで相手の口を被せた。

「んが」
「女らしくねぇ声だな」
「っ!! うっさいですよ。息苦しいんですけど、宍戸さん」

ギロッ、と言う効果音付きで、琉祈は宍戸を見る。

「こういうの洗うのめんどくさいんですよね、だる」
はぁ、と溜息と共に、タオルを自分のロッカーに入れた。
「これ、洗って返しますから。あぁ、放課後のタオルはこれ使ってください」
代わりに出したのは、右端に「RYUKI NIOU」と小さく書かれたタオル。

「え、いや、俺は」
宍戸が戸惑いながら受け取る。
「放課後使って返してくださったら、結構です。使ってなかったら、返品不可です」
琉祈は、では、と言うと、部室から出て行く。

それと同時に、校舎から朝練終了の鐘が鳴り響く。





「口切れても痛くないなんて、僕も相当、おかしくなっちゃったなぁ」





へへへ、と彼女は笑って言った。



























































































凄く暖かい太陽は、まるで立海に居た、彼のようです。