二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Dear.第一話 ( No.4 )
日時: 2011/04/29 08:17
名前: みにゅ (ID: V4RVuUEP)

【第一話】



『ミク!明日一緒に夏祭り行こうぜ!!』
『どした?何か悲しい事会った?』
『ミクを傷つける奴は許さねえ』
『ミク、愛してる』


『今までありがとう』


私は、校舎の柱にもたれて携帯をいじっていた。
すると突然。
突然、またいつもの『声』が聞こえてきた。
携帯をいじっていた手を止め
頭をはじめ、腕や足、体全身から聞こえる『声』に
すべての意識を向けた。
全身から聞こえる、じゃなくて
単に私が思い出しているだけかもしれない。

その『声』は、つい一週間前ほどに別れた、2つ上の高3の先輩のものだった。
先輩の声は、別れてからも毎日思い出してしまう。

携帯を制服のスカートのポケットにしまった。
それと同時に、あの先輩の本物の声が聞こえた。

「あーマジで??」
(マジマジ!!やべぇよ)
「自業自得だべ」
(ひでぇ!!)
「俺さ、ちょっと勉強しなきゃいけないんだわ。
じゃあこれでサラバ」
(おーぅ。
あー俺も勉強しねぇと…)

先輩達は、私の前を過ぎる手前で右に曲がって去って行った。
正直私は、ホッとしていた。
私は別れた今でも先輩の事を想っている。
だが直接会う勇気はない。
だから、顔を合わせない事に安心してしまったのだ。

「私って、最低だ…」

私は怖いんだ。
記憶の中では…思い出の中では、先輩はいつも、優しく笑っているのに。
なぜか先輩の顔を見るのが怖かった。
目を合わせる事が怖かった。




【第一話 終わり】