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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Dear.第二話 ( No.5 )
- 日時: 2011/05/08 11:52
- 名前: みにゅ (ID: V4RVuUEP)
【第二話】
『先輩!一緒に帰ろう』
『おう、悪ぃな部活長引いてさ…』
『いいですよ。それより明日!
先輩、バスケの試合に出るんですよね』
『んーまぁな。
将来の夢に一歩一歩近づくってやつ??』
『先輩はバスケット選手になりたいんだっけ?』
『うん』
『私、応援に行きます!
頑張って下さいね』
『サンキュ。
じゃあさ…パワー付けに、手ぇつながね?』
『…いいですよ』
『なんか…ははっ』
『ふふ…』
今私が思い出しているのは、2か月前の11月のある日。
学校帰りに先輩と二人で、笑いながら手をつないで歩いている。
この頃は、ずっとずっとこんな時が続くと思っていたのに。
そして時は流れ、一週間前の記憶に移り変わった。
そう—先輩と別れたあの日。
『今日も送ってくれてありがとうございます。
先輩、もう少しで大学生ですね』
『……』
『先輩はどこの大学に行くんですか??』
『…今まで、ありがとう……っ』
そうして交わした口づけ。
なぜか振った本人は、目から涙をこぼしていた。
何故泣いているのか聞くことも出来ず、今でも謎のままだ。
そして振られた本人も—去って行く先輩の背中を見つめながら、静かに泣いていた。
意識を『思い出』から『現実』に戻す。
すると、先輩が最後に言った言葉。
『今までありがとう』が、私の頭、いや、全身を埋め尽くしていく。
耳から離れずにこびりついて、鳴りやまないんだ。
ずっと話す事も出来ないまま。
もっと『距離』が空いたまま、一ヶ月が過ぎた。
先輩は何の報告も無しに、私の目の前から消えた。
【第二話 終わり】
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