PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Dear.第三話 ( No.6 )
- 日時: 2011/05/08 11:54
- 名前: みにゅ (ID: V4RVuUEP)
【第三話】
前までも話してはいなかったが、先輩が近くに居るだけで幸せだった。
だがいなくなってしまってはもう会えない。
どこに行ったのか私にはわからない。
もう彼女ではないのだから。
そう自分に言い聞かせようとしても、
心は悲しさでおかしくなるような感覚に陥った。
逢いたい。
逢いたいよ、先輩。
逢いたいから先輩の名を呼ぶ。
もはや声にならない声で。
悲しい、助けてよ、先輩。
私を傷つける奴は許せないんでしょ。
先輩が私を傷つけてどうするの—。
私はそれから毎日、居なくなった先輩のカタチを探し続けた。
3年生は、大学の受験の結果がそろそろ知らされる時期になった。
それでも先輩は来なかった。
先輩、大学行かないのかな…。
『おめでとう!先輩』
本来ならこの言葉を今、言えるはずだ。
だが、先輩は既に私の前にはいない。
一緒に祝えない。
どうしようもない切なさに負けないように、左手の人差し指を握る。
そこには先輩からもらった指輪。
その時だった。
「あー、お前の元カレも、今頃向こうで胴上げ状態だろうな。
あいつ頭イイし、顔もイイし、スポーツも出来るし。
向こうでもモテるぜ、きっと」
先輩の友人が、まるで独り言のように呟いた。
でもそれは私に投げかけた言葉だった。
私は、耳を疑った。
「あの…、その『向こうで』ってどういう意味ですか??」
「あ、知らねぇの?
あいつ、アメリカの大学に行ったんだよ」
【第三話 終わり】
PR