二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Dear.第四話 ( No.7 )
日時: 2011/05/08 11:54
名前: みにゅ (ID: V4RVuUEP)

【第四話】




「あ、知らねぇの?
あいつ、アメリカの大学に行ったんだよ。
たしか—」


まだ何か言っていたが、自然と耳に入ってこなかった。


先輩はアメリカの大学に行った。
バスケットボールが盛んな所だそうだ。

よく先輩は言っていた。
『俺は将来バスケの選手になる』
と。
そして私は
『私は歌手になりたいです』
と言って、お互いに応援し合っていた。

自分の夢にまっすぐな先輩に惹かれた。
だから私は、もし先輩がアメリカに引っ越すと知っていても、止めなかっただろう。
先輩の夢は邪魔したくない。

先輩は早めに旅立った。
そう、先輩が突然消えた日に日本を出たのだ。
なんでも、アメリカになれるためらしい。
今は一人暮らしを始めているそうだ。


そこまで先輩の友人から聞いて、感づいた。
あの日の先輩の『涙』の意味を。
先輩は、遠距離恋愛は私に迷惑がかかるって考えたんだ。
遠い所に居る自分の為に、恋愛をガマンさせるなら、別れた方がマシだ、と。

私は、いつのまにか空を見上げていた。
まるで、先輩もアメリカでこんな風にこの空を見上げてるかもしれない。
そんな事を考えながら、私は呟いた。


「先輩、ありがとう。
私も頑張るから、先輩も頑張ってね」


と。




【第四話 終わり】