二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Dear.最終話 ( No.9 )
日時: 2011/05/08 11:46
名前: みにゅ (ID: V4RVuUEP)

【最終話】




司会を務めるアナウンサーが、大きく声を上げた。

(今週も始まりました、Mスタ!
トップバッターは期待の新人、ミクさんです!!)
「よろしくおねがいします」
(今回歌っていただくミクさんのデビュー曲は、ミクさんの思い出が詰まっているんですよね??)

アナウンサーが私に問いかける。
私は柔和な笑顔を見せて、答えた。

「そうです。
去年くらいに、実は付き合ってた先輩と別れたんです。
別れてからも好きで、立ち直れなくて…。
そしたら先輩はアメリカの大学に合格して、もう会えなくなりました。
この曲は、その時の私の大切な思いです」
(では、スタンバイよろしくお願いします!)
「はーい」


いつか先輩に伝えたいと思っていた気持ち。


『先輩の事、ずっと愛してるから』


結局伝えられずに、私の心の中に眠っているけど。
だから、この歌を歌うんだ。
『きっと、その先輩さんも見守ってますよ』
スタッフが言っていた通りだ。
どこかで見守ってくれている先輩に向けて。

先輩が帰ってきてくれるなんて期待は抱かない。
もう会えないのは分かっている。
だから、大好きな先輩の事をずっと忘れない。
移り変わってゆく景色の中でも。


私がステージに立つと同時に、ライトが輝きだした。
ちゃんと『親愛なる君』に届くように…。




「では、聞いて下さい。
私のデビュー曲、『Dear』」




私は歌う。
ただ、先輩の心の片隅に。
一生消えないように。
『私』を刻みこむかのように…。




【最終話 Dear.終わり】