二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【真実ト嘘】イナズマイレブン 参照500&返信100突破!! ( No.106 )
日時: 2011/07/16 15:25
名前: 紅闇別PC (ID: dNKdEnEb)

④第八話






 T字路の細い道から出てきたのは、一人の女だった。
ただ、その格好が少し可笑しいと鬼道は思った。
色白の肌に、頭の上で結んである金髪。
それだけなら美人、としか言いようがない整った顔立ち。それだけなら、だが。
 彼女の服装は真っ黒。
ピッタリと体に合わせており、動きやすそうな姿。


 鬼道は、その女の両手に握られている物を見た。


「……これは、お前が投げたのか」
「ああ、そうだよ」


 素っ気なく答えた。
しかし、その目線は風丸に注がれている。


「一体、これは何だ? この辺りでは見慣れない、不思議な形だ。そして、お前は誰だ?」
「残念ながら後の質問には答えられないね。…だが、もう一つのなら良いだろう。
 これは”手裏剣”だ」
「……手裏剣?」


 女は、見せびらかす様に左手を出す。
指の間に挟まれたものは、黒く、不気味に光っている。
 怪しく笑うと、女は言った。


「あんたら、戦闘隊だろう?」
「……だったら何よ」


 かがりが怒ったように言う。
風丸も、肩を押さえながら立っている。


「いやー……特に意味は無いんだけどさ」


 そう言って空を見上げた。
太陽は女の背中側にあり、鬼道達には少し不利な状態となっている。







「……一分三十二秒」


 しばらくの沈黙の後、追突に言った。
その瞬間、どこか遠くから小さく雄たけびが聞こえた。


「——?」
「何、の事、だ?」


 風丸が途切れ途切れに問いかける。


「どうしたの?」
「——!」


 顔を歪め、地面に膝を付いてしまった。
隣にいたかがりは、近くに寄って手を出す。


「風丸?」
「……クッ……」
「ん? 効いてきたか。結構遅いもんだねぇ…」
「お前……何をした!」


 鬼道が守るように、二人の前へ立つ。


「手裏剣に少量の”痺れ薬”を塗っておいた。まあ、こんなにうまく当たるなら、致死量の毒を塗っといてもよかったねぇ」
「痺れ薬……」









「三分五十二秒」