二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【真実ト嘘】    イナズマイレブン返信100突破!! ( No.157 )
日時: 2011/06/17 23:33
名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
参照: きゃっほーい。

⑤第六話







「……戦う事は許可している。……が、戦闘で死を見る事は許可していない。分かるだろう?」


 黒の閃光を消し去り、鬼道たちの前に立った人物は、息をつきながらも落ち着いて言った。


「ったく……これ位ならお前等は対処出来ると思ったんだが……まあ、今回ばかりは——私にも責任はあるな」


 ”彼女”は、自分を驚いて見ている三人の方を振り返った。


「何はともあれ、大丈夫か? お前たち」
「……茜!」


 茜の紅い眼は、暗闇の中でもはっきりと見える。
 風丸は、茜の方に駆け寄った。

「茜?! どうしてこんな所に……」
「悪いが、話している時間は無い——ああ、鬼道。苦情も後で聞かせて貰おうか——今から出口を造る。
 お前たちは早くこの、くだらない世界を出て、城へ走れ。私もすぐに行く」
「……はい?」
「依林、後から援護に入ってくれて助かった。だが、お前も一緒に行ってくれ。
 かがりについては既に私が保証できる医者が要るな……まあ、城に戻っている筈だ、有能な奴がな」


 口を少しだけ動かし笑った茜は、自分の右手側、依林から見て左側を指差した。
指し示した所に、”世界”の破れ目が出来ていた——出口だ。


「ちょ、ちょっと待ってよ。私、何が何だか——」
「だから、後で説明すると言った筈だ。とっとと出て行け」
「他の皆は……居るんだろうな」
「何だ風丸。私を疑うのか? 勿論、居る筈だ。何かが起こってなければ、の話だが」


 腕を組み、見下すような目をした。


「さあ、早く! これは王の命令。私の命令は絶対だ!」


 急かすように言い、三人は出口に向かって走った。
鬼道が出る瞬間、立ち止まった。




「……他に言うことは?」


 鬼道が眉を下げながら落ち着いて言った。
反対に茜は眉を上げ、何かを楽しむように言う。


「無いね」

































































「……やっと行ってくれたかい?」


 クルキは、呆れたようにため息をついた。
茜は、まだその世界に残ったまま、ある一点を見つめていた。
 元々、茜自身が開いた世界の出口。それがあった場所だ。


「自分で造ったのに、自分が出ない……。どうかしてるんじゃないかい?」
「……五月蝿い。あの出口はあいつ等の為に開いたもの。私が使う必要は無い」
「へーえ、あの時と変わったね——ちょっと前までは、自分優先だったくせに……ね? 落ちこぼれ」
「……その事は忘れた」
「どうだか。たまに……たまーにだけど、思い出しては悔やんでるんじゃないかい? 
 アンタはアンタのく「——! 黙れ!」


 紅い眼は、完全に憎しみの目つきへと変わった。
それを隠すように、自分の手で目を覆った。


「……私は変わった。あいつ等が隊員にになってから、色々なことを学んだ。
 特に——あの能天気馬鹿野郎からはな」
「おやおや、酷い言われよう。
 ——もしかして……泣いちゃってるとか?」
「誰が。泣くなんて当の昔に忘れた」


 茜はそう言ったが、クルキの目は、覆っていた手が、微かに濡れているのを見抜いた。


「……強がりが」


















「さて……旧知の仲との話も終わったことだし……いい加減世界を消してくれないか」
「いつからあたしとアンタは旧知の仲になったんだい?」
「さあ?」
「……もういい。そろそろこの世界を維持するのも難しくなってくるからな……
 次、会うときは敵同士だ。アンタと戦うのを楽しみにしてるさ」
「ああ。今のうちに余生を楽しんどきな」
「そうしとくさ。じゃあな……咲乃」
「ハッ……」



























































 茜は、目を開けたとき、目の前には焼け爛れた野原が広がっていた。
頭上は、空いっぱいの星。戻ってきたようだ。















「さて……緊急事態だ。




 私も、余生を楽しみとするかな。





 ルワーザ。案外、お前と私は繋がりがあるのかもな——






 いや……その前に隊員たちからの苦情を聞くのが先決だな」








 髪をなびかせ、茜は自分の本拠地へと走り去った。
旧知の、最後の言葉を思い出しながら。































(一応、言っておく。あたしの妹に気をつけなよ)