二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【真実ト嘘】イナズマイレブン返信100突破!! ( No.178 )
日時: 2011/07/13 20:24
名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
参照: 円堂のキャラが違うとか言っちゃいけない。

⑥第二話








「お早う御座います、皆さん。さっさと起きやがれこの野郎」
「分かったから蹴るなよ、痛い。つーかとっくに起きてるから」
「なぜ未来が円堂を蹴っているのか不思議だな」


 次の日。
結局昨日の夜は、隊員全員で訓練場に行った。
壁の一部が破壊されたこと以外は、何事も無く終わった。
誰が壊したのかは、想像に任せる。


「全員揃った? じゃあ……振り分けをしようか」
「戒里捜索、もう一つは?」
「こっちに残って、戒里がどこにいるか詮索するの」
「誰が、どうやって、詮索するの?」
「じきに分かるわ。
 まあ、戦闘隊と親衛隊で分けるのが普通でしょうね。
 でも、あまり人数が多いと、逆に動きづらいのも確か。依林、悪いけど残ってくれる?」
「ん? 別に良いよ」


 依林は、気にも留めてないらしい。即行で了承した。


「姉さん、茜の姿が見当たらないが……」
「ああ、茜なら仕事があるとかで先に帰ったわよ」
「帰ったァ?! こんな大事な時に?!」
「炎愁、五月蝿い♪ ボッコボコにされたい訳?」

「…………」
「あら、未来。どうかした?」
「……いや、何でも」

















「今までの調査によれば、戒里は多分だけど——桜ノ国に居る筈よ」
「桜……南の方か。随分と遠いな」
「遠いどころじゃ無い。海を渡らないと」
「ま、その辺は風丸君と鬼道君に任せるわね♪」
「姉さん……」
「じゃあ、さっさと出発しちゃいましょ? ……ところで、なぜ未鈴はそんなに嬉しそうなの?」


 立ち上がり、城から出るために出入り口へと向かった。
しかし、一人だけ反対の方向に。


「円堂君?! 出口はこっちよ!」
「ゴメン、先に行ってくれ!」


 円堂は、過去に背中を向け、長い廊下を走っていく。


「ちょ……円堂君! 早く戻ってきなさいよ!!」



























































 円堂は、一つのドアの前で立ち止まった。
軽くノックすると、中へと入った。



「……何だ、行ったんじゃないのか?」
「少し、聞きたい事がある——茜」





 奥へと進み、自分用の椅子に座っている茜の前まで行った。
 茜は、文庫本の様な大きさで、物凄く分厚い、茶色の表紙の本を持っていた。
それを開き、パラパラとめくるが、それ程見入ってはいない様だ。
 暫くその様子を見ていた円堂だが、ふいに口を開いた。


「風の便りで聞いたんだ。……少し気になったから」
「何を聞いた」


 本を読みながら茜が話す。本をめくる手は止まらない。


「お前は、**を*****…と聞いた。本当か?」


 茜の手が止まった。


「……何処から聞いた?」
「さあ」
「……確かに、私は**を*****。いや、*****と言っていいな」
「本当、だったんだな」
「ああ……その情報は正確だな」
「なぜ?」
「なぜ……だと? そんなものお前に言う理由が無い」
「やっぱ言わないか。まあ、何となく予想は出来るけどな」
「なら聞くな」
「分からないことを聞くのが人間。俺は当たり前の事をしただけだ」


 本を閉じた。そして、ゆっくりと立ち上がる。
近くにあった自分の武器も手に取った。
 その姿には、威圧感が漂っている。


「その情報屋は——」
「お望みどおり、”消し”ましたよ。どうせ裏の人間さ、別に構わないだろ?」
「……本当なら、円堂。お前も死に値することをしている」
「やればいい。それで茜の気が済むならな」



 槍を握る手に力を込めた。


 無意識に、剣の近くに手をやった。



「……止めておこう。此処でお前が死ぬ訳にはいかない」
「そう。ならいい」


 言いたいことが終わったのか、円堂はじっと茜を見つめてから、後ろを向く——ドアへと向かった。
 茜は、その姿を、目を細めながら見届ける。
右手は槍を握り締め、左手は、自分の机に置いている本に乗せている。


「——円堂」


 円堂が、ドアノブに手をかけた瞬間、茜が声を掛けた。
円堂は、動きを止めず、ドアを自分が通れる所まで開いてから、言った。


「……何だ?」




「……気をつけろよ」



 今まで硬かった茜の表情が、少しだけ、和らいだ。
 返事の代わりに、手を少し振り返すと、円堂は歩を進め、ドアを閉めた。







































「……久しぶりに見たな。茜が笑う所」


 廊下を走りながら、自分にしか聞こえないぐらいの小さな声で呟いた。

 少しずつ、外の光が見えてきた——皆が待っている。手を振っている——
満面の笑みを浮かべながら、手を振り返し、走った。















「さあ! 行こう!!」



































〜END〜 第一幕