二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【真実ト嘘】 イナズマイレブン 一幕終了! ( No.191 )
- 日時: 2011/07/13 20:23
- 名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
- 参照: 二幕スタートォォ!!
二幕「人形の思い 仲間の想い」
①詮索、捜索 <はずれの図書館>
「……で、何しに行くの? 私たち」
「”詮索”よ」
円堂たちが桜の国——南へ旅立った後未鈴は、つらら、過去、依林、炎愁を連れて城の周りを囲む、広い中庭へと向かった。
庭を飾る緑が、陽の光を浴びて光っている。
未鈴に連れられた四人は、珍しそうに周りを見渡す。
「庭……か。初めて来たなあ」
「あら、それは違うわ。皆此処を通った筈よ」
「そうだったっけ?」
「ええ。私も来てるし……そうね、戦闘隊の皆も通ってるわ」
顎に手を当て、何かを思い出すように笑った未鈴。
後ろを向いて見渡すと、未鈴の目は過去の前で止まった。
「過去なら分かるんじゃない?」
「うーん、そうねえ……分からないわね」
自信は無いけどね! と、過去も未鈴と同じように周りを見渡す。
そんな二人の様子をつららは、瞬きしながら見ていた。
「……あ、先に進みましょうか」
未鈴は止めていた足を再び前に動かした。
つららは首を横に傾げながら戸惑っていたが、過去に背中を押され、進む。
依林と炎愁は、お互いを見つめあい、怪訝に思いながらも後を追った。
その様子を無視したのか、気づかなかったのか、未鈴は楽しそうに歩く。
「はいッ! 此処が目的地よ!」
「「「「……はい?」」」」
未鈴が指を差した先。
そこは、丁度城の裏側に当たる部分だった。四人が疑問に思うのも無理は無い。
炎愁が、言いにくそうに口を開いた。
「……あの、隊長」
「何?」
「あれですかね、テレビとかで良くある”隠し扉”的なものですか? 俺たちが向かってたのは」
「……はい?」
今度は未鈴が疑問に思う番だった。
「いや、だって、隊長が指してるの、城の壁ですよ」
「……あ、ゴメン。こっちよ」
城壁を向いていた指は、クイッと向きを変えた。
丁度未鈴の足元辺りを指した。
「下……地面?」
「そう、地面」
円形の蓋——マンホールより少し大きいだろうか。銅の色で、何か不思議な紋章が描かれている。
周りは草地なので、異様に目立って見える。
未鈴は少し微笑みかけると、そこに屈み、軽く触れた。
すると、銀色の淡い光が蓋を包んだ。光はしばらくして消え、後に残ったのは……
「——! 紋章が光ってる!」
「そう。まあ、一種の防御魔法を解いただけよ」
「防御魔法? 城の周りにもかかってる筈よ。それなのに此処だけ、二重にしてるの?」
「しかも、一番力が強い奴をね」
——パアン!——
未鈴は、自分の手を強く叩いた。
すると、円形の蓋は少しずつ薄くなっていき、ついにはその場から消えてしまった。
「うわあ、開け方も凝るねえ」
「仕方ないのよ」
蓋の中は真っ暗だったが、陽の光でなんとか上の方だけ見えるようだった。
鉄製の梯子が掛けられ、延々と続くように見える。
「……真っ暗だ」
「つらら、落ちるわよ」
「まさか、未鈴。ここを降りるんじゃ無いでしょうね」
「そのまさかなのよ、残念ながら」
「…………」
「さ! 早く降りるわよ。用事はこの先にあるから、ね? 着いてきて!」
そう言うと、仲間が止めるのも聞かずに、未鈴は梯子に足を掛け、降りていってしまった。
暫くその光景を見つめていたが、過去の「……仕方ないわね」と、言う言葉で四人も降りた。
「遅かったじゃない」
未鈴がそう口を開いたのは、最後に来た依林が、梯子を降り終わった直後だった。
「遅かったって……貴方がさっさと行くからでしょ!」
「まあまあ、過去さん、落ち着いて……」
「それよりも、此処は何処だ?」
前の言葉を無視し、炎愁が話す。
梯子を降りた先は、まるで上が庭とは思えない場所だった。
背後には、本棚。本がぎっしり入っている。
右側にも、本棚。本がぎっしり入っている。
左側にも、本棚。本がぎっしり入っている。
この様に、どこを見渡そうにも、本だらけなのだ。
床は茶色の板が敷き詰められ、壁は茶色の本棚とあわせるように、白と茶色。
城とは違う造りでもある。
広いとも狭いとも言えない広さの部屋の奥に、これまた茶色の机があった。
しかし、その机の上にも本が並べられ、積み上げられ、物置状態と化している。
「……これはまた……インパクトがある部屋ね」
「これ、本が無かったら普通に使えるんだろうけどな」
「なんか、見覚えがある気が……」
「ええ。梯子を降りたときは分からなかったけれど、この部屋は……」
「だから、皆”知ってる筈”って言ったでしょう? ……と、言っても一回ぐらいしか来なかったんじゃないかしら。
……それよりも」
未鈴は奥にある机へ近づき、大声で叫んだ。
「ちょっと! 気が付いてるんでしょ! お客様が来たのに、無視とは何よ!!」
「え、隊長?」
少し前まで、未鈴以外の誰も、この部屋は無人だと思っていた。
しかし、未鈴が叫んだ瞬間、積まれた本の奥から、大きな気配を感じ取った。
「「「「(……”そこ”に居る奴は、凄い力を持つ人物)」」」」
「……ったく……来てから早々煩いよ、未鈴。君は”静かにする”事を知らないのかい?」
「アンタが無視するからでしょ!」
「はいはい。……それにしても、今日は新人隊員の研修か? ……いや、時期がまだ早いな。
一体、このはずれにある、陰気臭い”図書館”に何の用だい?」
「自分でそんなこと言ったらお終いよ、館長。
今日はね、図書館じゃないの。アンタに用があるのよ。
……月花」