二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【真実ト嘘】 イナズマイレブン 一幕終了! ( No.198 )
- 日時: 2011/07/16 00:36
- 名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
- 参照: 遅くなってゴメンなさい。コメ返し、明日やります
①第三話<悪化>
「まあ……記憶は確かに僕が“もらった”けどね。確かそっちの本にしまってある筈……
あ、返して欲しかったら返すけd「結構です」
ほぼ無表情で返した過去。
「つまり、嫌な記憶……って言うと変だけど、まあ、そんな感じのを月花に“渡して”あるのよ」
「それで、思い出せなかった、のか」
未鈴は頷くと、隣に居る月花に話しかけた。
「じゃあ、本題。ある人を探して欲しいの」
「……はあ?」
すっ呆けた声を出した月花。眼鏡をかけ直した。どうやら、癖らしい。
「だからね」
「——……あーはいはい。分かりましたよ」
急に立ち上がり、黒の椅子に座った月花。
さっきと同じように、今度は一つの本棚に向かって、空を切った。
本は、いつのまにか月花の手元にあった。
「で? 誰をお探しかな?」
「か「戒里!」……依林」
身を乗り出して叫んだ依林。
周りには、もう全員が集まっていた。
「戒里……拝戒里か。……その内来ると思ったよ、彼女探し」
月花は、本を開いた。
紙が茶色くなっていて、少し古い物のようだ。
「……『拝戒里。四季月花の名の下に、彼女の居所を示しだせ。』!!」
事は終わり、城の裏庭に戻っていた。見送りとして月花も一緒に。
過去たちは先に行くと言って水溜りをも気にせず走り去り、此処に残っているのは、未鈴と月花のみとなった。
「ありがとう。助かったわ。この場所を、すぐ皆に知らせなきゃ……!」
「……くれぐれも、気をつけてくれよ? 僕のカンだと、きっと何かが起きる……様な気がする」
「アンタのカンなんて当てにしないわ。あたしたちは、絶対に大丈夫」
「そうか。……早く、行って、来い」
「ええ! ——アンタ、“悪化しない”でよ?」
未鈴は手を振ると、濡れた髪を守るようにして、駆けて行った。
姿を見送った月花は、その場に崩れるようにして座り込んだ。
息は荒く、苦しそうだ。
「……ったく、力、使いすぎ、なんだよ。自分の弱さ、知ってる、だろう……」
その言葉は、自分に言ってるようにも、他の誰かに言ってるようにも聞き取れる。
「さっさと、中に入りますか」
城壁を伝いながら、ゆっくりと立ち上がった。そして、空を見上げた。
「久しぶりに空の色を見たが……
真っ青だ。こんなにも空は綺麗だったか……」
月花は、空を見上げたまま、目を瞑った。
次の瞬間、月花の姿は、跡形も無く消え去っていた。
残ったのは、しきりに続く、雨が降り注ぐ音だけ。