二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【真実ト嘘】 稲妻長編小説 第二回オリキャラ募集中!! ( No.249 )
日時: 2011/07/18 12:50
名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
参照: 二人の性格が違う気がしてなりません。

③異変<脱走姫>









 双子は、“彼女”の元に駆け寄った。


「ん? アル、アレン」
「ライディ様! 見つかったんだ」
「そうなのよ。ある店に隠れてたのに、見つかっちゃってさ」


 彼女……ライディは、陽気に話す。
双子が友達の様に話すが、咎めないらしい。それ程仲が良いのか。


「あれが、ライディ・ナイト? この国を治める王?」


 風丸が疑わしい目つきでライディを見つめる。
王の左側に立っていた緑の髪の者が、風丸の姿に気づいたのか、ライディに話しかけた。


「——! ライディ様、この店には異国の者達がおりますが」
「別に良いわ。とっくに知ってるから」


 ライディは、まるで足が地面につかないような、ゆったりとした歩き方で円堂の方へと行った。
右手を差し出し、話し始める。


「初めまして、あたしは【ライディ・ナイト】。その方が言ったとおり、国を治める役職に就いています」


 かなりのんびりした口調だ。とても王とは思えない穏やかな雰囲気が出ている。


「貴方、円堂……守さんかな? ダルヌ国戦闘隊隊長の」
「え……何で知ってるんだ?」
「勿論、茜から聞いてるよ。『私の国では一番の馬鹿だから、すぐに分かるだろう』ってね」
「…………」


 ちょっとした毒舌も混じっているかもしれない。笑いながら言った。
「とにかく、よろしくね」ライディと円堂は、友好の意を得て握手をした。


 ライディは元の場所に戻る……と、思ったが、近くにあったテーブルまで行き、椅子に座り込んでしまった。


「心葉さん。何か飲み物を貰えるかな?」
「わっ……私?! えっと……じゃあ、アイスティーで良いですか?」
「何でも良いよ、美味しければ。まあ、このお店はどれも美味しいけど」


 ライディの右手側にいた者がピクッと反応した。
どうやら、何か気になることがあった様だ。


「……ライディ様」
「何? 憐」
「何故、この店の店員の名を知っているのでしょうか? そして、どれも美味しいと言われましたね?」
「あぁ、言ったよ。この前来て名前を教えて貰ったんだよね。全員。確か一週間前に……」
「あの時はこの店にいたのか!」


 いきなり、口を挟んだ緑の髪の男。


「梓、敬語」
「……あの時はこちらにいらっしゃったのですか?」
「まあまあ、憐。二人とも、普通に喋っていいから。堅苦しいのあたし嫌い」


 逆の事を咎めたライディ。二人の隊員は、戸惑ってはいたがどうやら直したらしい。


「ライディ様。いい加減その脱走癖直せよ。こっちが困る」
「その内にね。ほら、貴方達も異国の方々に挨拶しなさいな」
「……オレは【睦実梓】。フェニックス保護隊員だ」
「私はフェニックス戦闘隊員の【蓮川憐】です」


 梓は微笑んだが、憐はまだ硬い表情だった。
まだ円堂達の事を疑っているらしい。


「憐。そこまで警戒しなくていいのに」
「異国の者にはまず警戒する事が大事なんで」


 憐はそう言うと、ライディに一礼し、店の外へと出た。


「あー……ごめんな。憐、ちょっと頑固なんだよ」
「いや、気にすんな! こっちにも似たような奴いるからさ」


 円堂が誰を思い浮かべたのか、大体予想はつく。


「そうだ。貴方達……人を探しに来たんだっけ?」


 唐突にライディが話を振った。


「はい。この国にいると聞いて——」
「戒里ちゃんでしょ? 知ってるよ」


 鬼道の言葉に被せるように、ライディが後を言った。
一瞬誰かが眉を下げたように感じた彼女は、慌てた風に付け足す。


「あ、戒里ちゃんね。一回この国に来た事があるから。知ってたんだよ」
「戒里……が?」
「ええ。あの時は親交を深めたいとか何とかあって、使者として茜が送ってきたの」


 未来は、自分が思っていたことをすぐに見極められ、少なからず驚いていた。
勿論、誰にも気づかれないように表情には出してないが。


「あたしはね、戒里ちゃんの事、疑いなんてしないから。絶対にね」


 ライディは立ち上がり、近くに立っていた心葉に声をかけた。


「美味しかったわ。ありがとう」
「いえ。良かったら、またいらしてください」
「ええ、来れたr「「「ライディ様、脱走は少なめに」」」


 自分の部下三人に突っ込まれたライディ。
いつもの事の様に、特に気にしてはいない様子。


「そうだ。皆、お城に来ない? そこの方が色々便利よ。
 どうせ、全員泊まれるような宿なんて無いんでしょう?」
「…………」
「……はい」


 自分の言った事を気にせず、ゆったりと扉へと向かうライディ。
彼女が扉を開けようとした瞬間、外から凄い速さで開いた。
ライディは驚くほどの身のこなしで素早く避け、扉との衝突を避ける。
しかし、ライディの後ろにいた梓に当たってしまった。
 本日二回目、扉に顔面衝突。