二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【真実ト嘘】 稲妻長編小説 第二回オリキャラ募集中!! ( No.294 )
- 日時: 2011/08/19 18:24
- 名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
- 参照: 終わったああぁぁぁぁ!!
④桜との戦い
第一話<禁止>
「遅くなってゴメンなさいね。ようこそ、桜ノ城へ」
優しげな顔をしたライディは、一段高い、桃色の王座に座っていた。
その周りを、憐や梓達が守っている。中には名も知らぬ隊員が数人居たが、無表情で身じろぎ一つせず、客として通された円堂達を見ていた。
「いえ、俺達も助かりました」
「この国を出て野宿しようなんて考えは無謀。寝ている間に魔物に囲まれて終わりだから」
表情を暗くしたライディだったが、前に立つ傷だらけの少女を目ざとく見つけると、驚いた様に言った。
「あ……貴方どうしてそんなに傷だらけなの!?」
「私? ちょっと色々あって……」
深緑は少し困ったように言った。
ライディは立ち上がろうとした……が、何かを思い出したように再び座り直した。
「……心葉さん、居るかな?」
「あ、はい!」
慌てるように前に出てきたのは、『春夏秋冬』の店員、心葉。
「心葉さん、貴方の力を貸して欲しいんだけど」
「分かりました」
心葉は、懐から鏡を取り出すと、深緑に手渡した。
「それを持っていて下さい」
深緑は目を閉じ、自分の方に面を向けて鏡を持った。
「“和みの心”」
そっと呟くと、鏡に淡い光が灯った。
光は少しずつ大きくなり、深緑を包み、消えた。
目を開けた深緑は、体中にあった傷が癒え、痛みも引いている事に気がついた。
「あたし達は回復出来る技を持っていないの。だから、心葉さんをお呼びしたわ」
「へぇー……心葉さんだっけ? ありがとう!」
「いえ、当然の事をしたまでです」
返された鏡を持つと、心葉は王座に繋がる通路の端へ戻った。
ライディはそれを見ると、円堂達に向き直った。
「さあ、皆さん一人一人の部屋を用意してるわ。そこでゆっくり休んでね。玲名、案内を」
「分かりました」
ライディの右隣に居た、青い瞳の隊員が前に出た。
彼女は睨むように一瞥すると、低い声で早口に言った。
「八神玲名、フェニックス戦闘隊隊長。部屋はここだ」
彼女は立ち止まらずそれだけ言うと、奥にあった一つの扉を開けた。
「よし! 明日は戒里を探すぞ!」
円堂が大きな声で言った。
その瞬間、扉の奥に入ろうとした玲名は急に立ち止まった。
「……? 八神、どうした」
「貴様、今何と言った」
玲名は振り向かないまま、無機質な声で喋った。
円堂は疑問に感じたが、問いに答えた。
「えっと……『明日は戒里を探す』だ。それがどうかしたか?」
バタン! と、大きな音を出して扉が閉まった。
玲名が扉を壊しそうな勢いで押したのだ。
「え? おい、何が「ライディ様の前へ戻れ。早く」ハア?」
彼女は振り向き、円堂を本当に睨むと、首でライディの方に行け、と指示を出した。
訳が分からぬまま、円堂達は戻された。
「そう、言い忘れていたわ。
この国での拝戒里探しは禁止」