二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【真実ト嘘】 稲妻長編小説 ( No.326 )
- 日時: 2011/10/05 23:18
- 名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
- 参照: パソコン戻ってきました!データも消えてなかったので再更新です^^
④桜との戦い
<最高の部下>
「手加減してるのだから、死なれちゃ困るのよ?」
「…………」
虹彩は自分の腰から刀を出すと、開始早々、その先を鬼道に向けた。
一方で、鬼道は刀を持ちながら、妙な不信感を感じていた。
普通、強い者と言うのは何かしら“気”があるのだ。目の前に立った者を震え上がらせる様な何かが必ずついている。
だが虹彩はにそのようなものは感じない。自身の言い分やライディが言ったことを重ねると、かなりの実力者なのだろうが。
「“暗鬼”!」
鬼道が放った闇の影は、真っ直ぐに目標を捉えた。
虹彩を包み込むように囲み、中で押し潰した。
「遅い!」
彼女は上に居た。既に地上からかなりの高さまで上がっている。
潰される瞬間、上に跳んだのだ。
「(……速い)」
「あら? 本気なの?」
音も無く静かに降り立った虹彩は、つまらないとでも言いたげな表情を露わにした。
「こんなんだったら、武器なんて使わなくても——」
「違う」
冷たい目が、虹彩を睨む。
「俺はお前を疑っていた。本当に強いのだろうか?」
「へえ、見かけで人を判断しちゃあ、駄目よ?」
鬼道は向き直ると、いつもの冷静さを失わず話す。
「見かけじゃない。——気だ」
「気、ねえ……」
「だが、今のお前の動きで分かった。本当に強いのだろう、と」
さっきの表情とは正反対に、面白そうに笑う虹彩。
「本気ね?」
「勿論」
「安全な考え方ね。どこかの隊長さんは素晴らしい無鉄砲だと言うのに……」
二人は、切っ先を相手に向けた。
「お前を倒す。そして戒里を見つける」
「あら面白い。やって御覧なさい!」
虹彩は、自分の刀を思いっきり突き刺した。彼女も、少しは力を入れたようだ。
持ち手に力を入れて、鬼道を指差した。
「気をつけなさい。“本当に”強い者はその“気”を隠せるの」
「貴方の命、貰ってあげるわ!」
☆
「ねえ、未来」
「何? 今忙しいんだけど」
「突っ立ってるのを忙しいとは言いません。——あの二人、強いのかな」
あの二人とは、楽しそうに話し合う青い双子の事だ。
かがりは、自分よりも年下の相手と戦う事に少しばかりの抵抗がある。
しかし未来は、その考えに反し、
「強いんじゃないの? あの脱走する王様が言ったんだし」
と言い、対決する地点へ行ってしまった。
納得する答えを得られなかったかがりは、不満そうに顔を歪めると、未来の後を追った。
「始めェ!!」
「頑張ろうね、アル!」
「アレン、そっちこそ負けちゃ駄目だよ!」
「せいぜい負けないようにしないとねぇ」
「うーん……」
何とも戦いには向いていない空気だ。
先手を切ったのは未来。いつもの速さでアルに近づくと、“軽く”蹴りを入れた。
アルは成す術もなく、易々と吹き飛ばされてしまった。
呆然としているアレンを尻目に、未来はかがりを見た。
かがりは剣を持ち直すと、自分に背中を見せている相手に向かって突き刺した。
——かに思えたのだが。
かがりは自分の腹に衝撃を感じると、未来の蹴りとまではいかないが、それでも数メートル飛ばされている事に気が付いた。
「……え、」
「チッ」
未来が舌打ちをしたと思うと、前を向きながらかなりの速さで、かがりの隣まで下がった。
未来の道のりと重なるように、床に小さな剣がいくつも突き刺さっていたのだ。まるでその足を潰そうとするように。
「なっ、……誰が!」
「前を見ろ」
指差した方向を見ると、さっきとは大違いの冷徹な表情で、双子がこちらを見ていた。
「いったあー……びっくりした」
「アル、大丈夫?」
アルはアレンに手を借りて立ち上がると、驚きの顔をしている未来とかがりを見て笑った。
その笑いは、どこか恐怖を感じる笑みだった。
「こんなに傷つけられちゃったんだもん。仕返ししないと気が済まないよね?」
それを見てアレンも、笑った。狂ったように、笑った。
「アルが言うんだったら僕も。久しぶりに戦えるよ……!」
「「お前の首は、僕らの手で斬るよ?」」
驚いて、声がしばらく出なかった。
その威圧感に、足も、手さえも動かなかった。
「何よあいつら……!」
「……かがり、絶対に気ィ抜くなよ。
奴ら……本当に殺す気だ、私達を」
☆
「隊員内最強の一人、『虹桜女帝』虹彩。裏の顔は冷たい双子、『冷酷なる鬼』アルリナ、アレン。
貴方達は、私の部下三人を倒す事が出来るのかしら?」