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③第七話










「……限らない、だと？」


　茜が意味深な発言をした。


「そういう事だ。”他の可能性も考えた方がいい”とでも言うのか」
「他の……って、例えば？」


　円堂のもっともな問いに、茜は鼻で笑った。


「さあね。お前達は『自分で考える』とか出来るだろ？　そこは自分で考えるんだな」
「……そんな事、言ってもねぇ」
「未鈴。後の事はお前に任せるぞ。ここに戦闘隊と親衛隊の隊長がいるんだ、心配しなくても平気だろう。
　……あ、早くこの部屋を出た方がいいぞ。大臣の部下達が巡回してるからな。変な話聞かれたら私だって嫌な立場になる」


　それだけ言うと、茜は横に結ばれた髪をなびかせ、ドアへと歩を進めた。


「……待った」


　鬼道が呼び止めた。
茜は振り返らずに答える。


「何だ、鬼道」
「……茜はどうなんだ。戒里の事をどう思っている？」
「……私は」


　一瞬、自分の足元を見た茜。
その表情は誰からも見えない。
















「私は、自分の感情に流されず、王としての立場を務めるだけだ」

















　きっぱりと言い切り、茜は部屋を出て行った。


















「……茜はどちらの立場か分からないって事か」
「そうだな」


　部屋には、五人の隊員達が残された。