二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 未来を知る少女【世界編】 ( No.53 )
- 日時: 2011/05/21 23:20
- 名前: 海穹 ◆EZarcElGGo (ID: UruhQZnK)
第10話 「会わない」
どうしてだ。鬼道の頭の中を疑問が埋め尽くした。
嫌いと言うことは会ったことがあるからこそ言えること。そしてあれだけ嫌がっていたということはかなりの付き合いだろう。
そう考えたからだ。
「何で……」
「ちょっとした知り合いだから。」
淡々とした答えが返ってきた。
月の光が氷歌を照らし、氷歌の髪を煌かせた。風が吹いて氷歌の髪が宙を舞う。
そんな氷歌の髪の色と月の色は似ていた。
「兎に角行こう。皆待ってる。」
鬼道は氷歌に手を差し伸べる。
氷歌はその手を見たあとに鬼道の顔を見た。優しい鬼道の顔、優しい目が氷歌に向けられている。
「でも……」
氷歌はそれ以上言わなかった。何も言わずに下を向く。
「会わないようにしていただけますか?」
鬼道はのその言葉を聞いて驚いた顔をした。
でもその顔はすぐに面白そうに笑う顔に変わった。
「出来るだけしましょう。」
鬼道がそう言うと氷歌は手をとった。
鬼道と氷歌が会場に戻ると、円堂と秋が入り口にいた。
秋は円堂に背負われ、そして背負っている円堂はユニフォームである。
「何でユニフォームなんだ……」
鬼道が呆れた顔でそう呟く。しかし、氷歌はそれよりも気になるものがあるようだった。
冬花と共にいる男だ。白い……いや、シルバーと言うべきであろうタキシードを着て、円堂に挨拶をしているその男は、氷歌が会いたくないと言っていた「エドガー・バルチナス」その人だった。
「いた……」
氷歌が鬼道の後ろに隠れるようにして収まる。
しかし鬼道はタキシード、氷歌はドレスだ。完全に隠れられるわけがない。でもエドガーは円堂との会話にしか意識がいっていないようで、氷歌に気づく気配はまるでない。
隠れる氷歌の手を握り、鬼道はわざとエドガーから離れるようにして皆のところに戻った。
鬼道と氷歌が戻るころには秋が皆のところにいた。
優しい色のドレスに身を包んだ秋。秋の話によると、円堂はフィディオたちとのサッカー対決に夢中になって遅れてしまったらしい。秋も夢中になっていたようだが。
「フィディオ……ねえ……」
氷歌は会場に植えられた木に隠れていた。近くにはイナズマジャパンの皆がいる。飲み物を片手に楽しそうにしている皆。しかし、氷歌はそこに近づこうとはしなかった。
見つかるからだ。
「懐かしい……エドガーもだけど。」
氷歌はクスッと笑った。