二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 未来を知る少女【世界編】 ( No.54 )
日時: 2011/05/22 16:36
名前: 海穹 ◆EZarcElGGo (ID: UruhQZnK)

第11話 「咄嗟」


「何年前になるのかな……」

氷歌は嬉しそうに微笑みながら目を閉じた。



暗闇の中で見えたのは氷歌の記憶。

髪を結った少女が地面に伏せて少女を見ている少年に手を差し伸べていた。
その手をとる少年。


氷歌が目を開けるとそんな記憶は見えなくなった。


その時

「フッ、フフフッ……」

エドガーが笑っている。円堂に向けられたその笑いは、完全に馬鹿にしているものだった。


「いや、失礼、似合ってたものだから。」

エドガーは円堂たちからの鋭い視線を受けながらそう言った。
円堂を馬鹿にする態度にイナズマジャパンが怒っているようだ。

「さあ、行きましょう冬花さん。デザートがあります。」

そう言って冬花を連れて行こうとするエドガー。冬花はどうしていいか分からなくなっているようだ。

「ちょっと、今のはうちのキャプテンに失礼じゃないですか?」

キラリと眼鏡を光らせてそう言う目金。
皆も同じ意見のようだ。


「何してんの……?」

氷歌は木の陰からその様子を見ていた。皆のところからまずいことになりそうな緊張感が伝わってきている。
氷歌は見つからないように影から顔を出し、様子をうかがう。


「困るなぁ誤解してもらっては。私は褒めたんですよ?」

呆れた様子でそう言うエドガー。
完全に喧嘩をうっている……氷歌はそう思っていた。

「褒めた?」

土方が怒った様子でそう返事をした。

「ええ、だから言ったじゃないですか。似合ってるって。」

円堂たちの方を見てそう呟くエドガー。
やばい。咄嗟にそう思ったころには、氷歌の体は動いていた。


「おまえなぁ!」

綱海が怒りに満ちた顔でそう言い、前に出たのと同時に、円堂が手を出して綱海を止めた。
しかし、それよりも早くに二人の間に割って入ってきた人がいた。


空色のドレスをふわりと揺らしながら華麗に着地した少女はくるりと振り返り、エドガーの方を向いた。勢いよく振り向いたせいで髪が宙を舞う。

鋭い目でエドガーを見る少女、その少女は紛れもなく氷歌だった。あれだけ会いたくないと言っていたのに自らエドガーの目の前にテレポートしている。


皆の中に沈黙が流れた。

その間にも氷歌はエドガーを鋭い目で見ていた。エドガーは対照的に驚いて目を丸くしている。


「……あっ……」

沈黙を破ったのは氷歌だった。

「なんで出てきちゃったんだろ……」

かなり後悔しているようで、エドガーから目を離して地面を見ている。
しかし、エドガーは丸い目を氷歌に向け続けていた。

「氷歌……!」

エドガーは小さな声で、驚いた顔でそう呟いた。