二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 未来を知る少女『世界編』【オリキャラ募集中!】 ( No.82 )
日時: 2011/06/03 22:32
名前: 紗夜 (ID: UruhQZnK)
参照: 名前変えた!気分転換だよww

〜過去編・予告〜


「有翼種」



真っ暗な世界。そんな世界に一本だけある、真っ白な一本道。とても対照的な光景だ。

「皆さんはじめまして。」

綺麗な声が聞こえた。次の瞬間、目の前に現れた、一人の少女。真っ暗な世界に綺麗に揺らぐ、少女の純白の髪。そして少女は振り返った。綺麗な髪を翻し、そしてその純白の髪とは対照的な漆黒の瞳をこちらに向ける。


「そしてようこそ。異世界に。」

少女が微笑んだ。その微笑みは何処か冷たく、冷静なものだった。

「やっと私と、この異世界にスポットライトが当たりましたよ。十数話分のナレーターをさせておいたうえ、後々重要になると言うのに今まで放置ですからねぇ。」

少女の微笑みがどんどん冷たく、怖いものになっていく。笑っているはずなのに何処か怖い。

「まあ、それは今は忘れましょう。」

少女の表情が和らいだ。怖い微笑みは何処かに行き、優しい、暖かな微笑みに変わった。

「あぁ、自己紹介がまだでしたね。私はティンク。ティンク・ロクサーです。この小説のナレーターを務めさせていただいております。そして、異世界の住人です。」

優しい微笑みを絶やさず、そう言ったティンク。

「今回、私がこうやって皆様に予告をするのにはわけがあります。」

ティンクが微笑むのをやめ、少し真面目な顔をしてこちらを見た。

「皆様、『有翼種』というものをご存知ですか?」

ティンクはこちらに背を向け、話し始めた。翻ったその純白の髪が宙を舞う。

「字のまま、翼を持つものたちのことです。これは分かりますよね。では、『有翼人種』は分かりますか?」

ティンクは真っ白な道をゆっくり一歩、二歩と進んだ。そのたびに揺れる純白の髪。そしてそれをまた翻してティンクは振り返った。

「これも字のまま。翼をもつ人、人間のことです。そんな人々、いわゆる天使に近い者たちが創りだした文明があるんです。それが……」





「『有翼人種文明』」

ティンクが優しい笑顔を見せた。

「翼をもつ者たち、そう、こんな人々の文明なのです。」

ティンクがそう言った途端、視界に白い何かがゆらりと揺れながら通った。
追ってみると、そこにあったのは羽根、純白の羽根だった。

目を戻してみると、そこに広がっていたのは信じられない光景だった。

ティンクの華奢な背中に、大きな翼が生えていたのだ。







純白の、ティンクの髪と同じほど白い翼。それをはためかせ、ティンクが宙に浮きあがった。


「こんな翼をもつ者たちの文明なんですよ。」

ティンクの華奢な体が宙に舞い上がる。真っ暗な世界にはためく、その白い翼。

「この文明が、後々、この小説の重要なものになってきます。皆さま、忘れないでください。」

ティンクがそう言うと彼女の背に生えていた翼が何の前触れもなく消え、宙に浮いていた彼女の体は飛ぶための頼りをなくして道に軽い音を立てながら着地した。


「私の翼は『有翼人種』のものとは違いますよ。私の翼は、この異世界の住人が自らの使命を全うする為に必要不可欠なものなのです。そのお話はまた今度。」

ティンクはそう言って微笑んだ。

「では皆さん、またお会いしましょう。」


そんな声が聞こえたころには、ティンクも、白い道も消え去っていた。