二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 幻想の魔筆 ( No.14 )
- 日時: 2011/05/11 21:30
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
時刻はさらに進み…午前10時5分前…。
低かった太陽は、少しずつ一を変え、空高く昇ろうとしていた。
「…ううん………」
爆睡カービィが、ようやく起きそうな気配を見せた。
ゴロゴロとやわらかい布団の海を、寝相の悪さでしわしわにした挙句、青みがかかった黒色の瞳を、うっすらと開く。
「…フア……ッ…アアァ……」
むくりと起き上がって、口を軽く手で押さえて、のんきで長いあくびをする。
まだあまり目が覚めていないのか、トロンとした瞳を、ゴシゴシとこすっている。
その衝撃で、被っていた薄緑色のナイトキャップが、ズルズルと頭から下がってくる。
「むぅ」
下がりきって目にかかった、愛用のナイトキャップを、うっとうしくはらい、外す。
明るい陽射しが、さんさんとカービィの座っているベットにまでとどいている。
まぶしさにカービィは、光にまだ慣れていない瞳を、思わず閉じてしまう。
しぱしぱと瞬きし、光に慣れさせる。
「うー!朝だー!」
ようやく意識がはっきりしたのか、伸びをしてベットから降りる。
現在時刻は10時。
もう昼なのではないのかと突っ込みたいところだ。
「おはよう!」
誰もいない部屋の中、独り言のように挨拶をする。
「…?あれ…トッコリ…?」
いつもなら、必ず「おはよう」と、素っ気ないながらも返事を返してくれるトッコリが、なぜかいない。
「トッコリー?どこー?隠れてるのー?」
カービィは不思議に思いながら、小さな家の、小さな部屋の中を捜索する。
戸棚の中を見てみたり。
机の下を覗いてみたり。
もしかしてまた寝相が悪くて潰しちゃったのか、とベットの隅々まで調べる。
しかし、どこにもトッコリはいない。
「おかしいな、いつもなら絶対にボクを起こしてくれるはずなのに…」
頭の上に、クエスチョンマークを浮かべる。
ふと、ベットの隣にあるサイドテーブルに置いてある、青空色のアナログ時計が目に入る。
近くに言って、現在時刻を確認する。
10時6分。
「へ?」
カービィは驚く。
なんせ自分はいつもどおりの8時に起きたと思っていたのだから。
しかも、10時6分とは…。
大寝坊だ。
「この時計が壊れてるってことじゃあないよね…3日前にガングに修理してもらったんだから…」
プププランドのおもちゃ屋さんの店長に直してもらった時計は、そんなすぐに狂うわけがない。
やはり、今現在の時刻は、10時…7分なのだろう。
「でもトッコリがいつも起こしてくれてるのに…なんでこんなに寝坊しちゃったんだろう…」
トッコリが起こしてくれないときはまずない。
いつも、「自分で起きろよ!もうおいらは起こしてやんねえぞ!」と、
毎朝口癖のように言っているが、実際に起こしてくれなかったことはない。
では、なぜ今日は起こしてもらえなかったのだろうか。
トッコリに起こされれば、絶対に起きる。
だから今日はトッコリが起こしてくれなかったということだ。
「急ぎの用事でもあったのかな…?」
でもこんな朝から?と、疑問を覚えた時、ググゥ〜とお腹の音が盛大に鳴った。
「朝ごはん食べてから考えよう」
腹が減っては戦はできないしね、とカービィはキッチンに向かって、パンやリンゴなどの食糧を籠に入れて、机に運ぶ。
お気に入りの椅子に座って、パンにバターをこれでもかというほど塗りたくる。
いつもなら、「お前そんなにつけるなよ!太るぞ!」とトッコリに注意されるのだが、そのトッコリがいない食事。
「…」
なんとなく味気がない。
1人の朝ごはんは本当に久しぶりだ。
お腹はとっても減っているはずなのに、あまり食事が進まなかった。
適当に食事を済ませ、カービィは机を拭いたりなどと、片づける。
「トッコリ本当にどこいっちゃたんだろう…」
片づけを終え、カービィはトッコリを探しに行く。
たぶんフームたちのところにいるのだろう。
カービィはプププビレッジに向かうため、扉のノブに手をかける。
ドアはいつものように、開く。
でも。
景色はいつものようでは、なかった。