二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 幻想の魔筆 ♪参照600突破♪ ( No.186 )
- 日時: 2011/06/22 20:57
- 名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)
- 参照: http://twitter.com/#!/manngetunohitom
「私は…綺麗なんかじゃない…!だって…だってあなたを…殺そうとした…化けものよっ!!」
「ううん…ドロシアは…いつだって…きれい…いまも…ぼくちんの…たいせつな…ししょう…」
部屋の中は絵具の海。
しかし、新たに生まれた血の河が、少しずつ広がっていく。
室内には、傷ついた小さな魔女と、青い長い髪を血に染めた不気味な魔女。
魔女の姿は、ほとんど変わっていた。
あの美しかった顔は潰れ、やけに大きな目玉が爛々と不気味に輝いている。
マントの下の体は、ドロドロで、絵具の塊がそのまま服を着ている状態になっている。
グリルを抱きしめている腕も、アメーバのように溶けている。
気味の悪い化け物。
まさに魔女はそれに似つかわしいおぞましい姿。
しかし、わずかに面影は残っている。
青い髪だけは、唯一残っている。
惨状の部屋の中で、血を流した魔女を抱える化け物。
なんと滑稽な構図だろう。
そしてグリルは、「それでもドロシアは美しい」と言った。
嘘偽りの目ではなく、凛とした正直な瞳。
それは—————まるで一番最初の出会いの時のような…
「だって…ぼくちん…ドロシアにあってなかったら…きっといまごろ、しんでたよ…ぼくちん…かぞくからも…みんなから…いらないって、いわれて…じゃまものって…だから…しあわせ…だって、どろしあのそばに…いれて、るんだもの…えへ…」
「私はアナタを殺そうとした化け物よっ!?アナタを殺戮しようとした!■■■よ!?」
「だから…■■■は…どろしあじゃない、よ」
「でも!■■■は〝ワタシ〟なのよ!?絵画の怨念よ!?呪わた…!怪物よ!!」
「たとえね…どろしあがかいぶつでもね…ぼくちんは…どろしあのそばにいたいの…」
「!」
「えへへ…—————ぼくちん…わがままだからね…てこでもうごかないよ…?」
まるで、こんな傷何でもないというように、グリルは微笑んだ。
子供のように泣きじゃくる、魔女に。
「だいじょぶ…だいじょうぶ…—————」
「私…!私…やっぱり関わっちゃいけなかった!また〝殺戮〟してしまうから!人と関わっちゃいけなかった!みんな…みんな殺してしまう!
私のそばにいたらみんな私が殺してしまう!!」
ぐったりとしたグリルは、もう意識はもうろうとしていた。
それでも、魔女の泣き叫ぶ声は、しっかり聞こえた。
「私—————もう誰も殺したくないっ!!—————アナタだけは…手をかけたくなかったのに…!」
「だいじょうぶ…ぼくちん…しなない、よ…だいじょぶ…いきるから…どろしあのために…いきるから…ね」
「うう…うああああああああああああああああ—————」
ドロシアは泣いている。
泣き声をあげて。
子供のように。
悲鳴のように。
「死なないでグリル…!死なないで…!」
魔女の声が少しずつ遠くなってくる。
大好きな、声が…
綺麗な声が…
「なかないで…」
グリルは、意識を手放した。
ワタシガ、シナナイト
そして、すべてが、終わり始めた。
狂い始めて。
狂い終わるときはそう長くはなかった。