二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  ♪参照700突破だと…!?♪ ( No.194 )
日時: 2011/06/27 21:07
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)


ただでさえ水の中。
意識がうつろになってしまうほど、危うい酸素量。

これで吸い込みをしたら、息が詰まってどうなってしまうかわからない。

でも、やってみなくちゃわからない。

「(デデデ…—————ありがとう…)」

あきらめちゃ、ダメだよね…!

カービィは覚悟を決めて、水の中でわずかに残った酸素を使って—————

「ぱ—————ぁぁぁあああああああああああああっ!!!!」

雄叫びのような轟音を轟かせ、一気に口を大きく開け、水を吸い込む。

ゴォォオオオオオ—————!!と、風呂場に溜まっていた水は、渦にのまれるように吸収され、減っていく。

「(苦しい…!)」

これは命と隣り合わせの策だ。
今にも吸い込みに力が途絶えて、水をすべて吐き出してしまいそうだ。
押さえつける力も、カービィの行動を遮るように、力を強めていく。
背中からの圧迫と、吸い込みの圧縮で、とても危険な状態。
カービィは必死に、たであひたすらに、すべての意識を吸い込みにだけ集中させて—————

失敗はできない。
失敗は—————死だ。

一度しかできない。
確実に成功させなければならない。

カービィは水と一体化していた。
意識はもう、ほとんどなかった。
それでも、生きるために、吸い込みを続けた。

愛するものを、守るために。




体は裂けそうで、意識は途切れそうで、命は刈り取られそうで。



でも




星の戦士は、そんな屈強の中。






戦った。






「(ボクは生きてみんなを—————プププランドを救うんだ!)」




誓いはもう、とうにたてたではないか。


『行動あるのみだ。カービィ…—————』

決死の誓いの中で、仮面の騎士の声が、凛とした声で響いた。

それが、合図だった。


「ああああああああああああぁぁぁぁぁあああああああっ!!!」

広い広い、西洋のサロンのような広大の風呂場に、突風が起こった。
そして、驚くべきことに、風呂の水をすべて吸い込んで巨大に膨らんだカービィが、水を切り裂き、突風とともに宙に跳ねとんでいたのだ

あれほど強かった力を振り切って—————

『やればできるじゃないかぞい!それでこそわしのライバルぞい!』

デデデの勝利のたたえを、カービィは心に刻み込む。
ゴクン!と、まるで耳のそばで飲み込んだかのようなでかい音とともに、水を体内に入れ込む。
カービィの体はすぐに縮まり、元の姿に戻った。

泡を飲み込んだカービィは、〝見えない敵〟の気配に向かって…
自らのコピー能力をさらした。

「バブル!!」

桃色の体に、柔らかな泡が竜巻のように巻き上がり、頭の上に冠を生み出す。
右手には、いかにも軽量な連発銃。
しかし、感じる力からは相当大きい。
バブルカービィ。

カービィは、連発銃を両手に添え、狙いを定める。
そこは、〝廊下〟の入り口だった。
迷いなく、引き金を、一気に絞った。

「バブル…キャノン!!」

見た目からして小さな口径の銃口から、ありえない大きさの泡弾が、しかも大量に噴出した。

スピードはそれほどでもなかったが、範囲が広く、狙われた相手は決して避けきれないだろう。

〝狙われた誰か〟がいるのなら…—————






「うわああああ!!」

「!」

甲高い叫び声が聞こえた。
それは、撃ったカービィも驚いた。
誰もいない場所から声がしたのだ。
まもなく、ガシャンという物音。

「誰!?」

カービィは銃を、足のあたりに装着された、小さなホルスターに戻し、すぐさまその場にかける。
そこには、泡弾の特殊能力の『能力保存』によって、能力が封印されていた。

たくさんの泡弾のほとんどが、ドロドロの絵具が詰まっていた。

「え、絵具…?」

「い…っつぅ…」

「!」

すぐそばでうめき声がした。
少女の幼い声。

「誰!?」

「お…お前なんかに…まけて…たまるもんか…!」

視界の中で、カメラが暗転するように、彼女はフェイドインしてカービィの目の前に現れた。

「!?君は!?」

「ハァ…ハァ…僕ちんは…グリル…この『箱庭』を守る魔女…!」

カービィと対峙するのは、グリル。



呪いの魔女を愛する、愛しい魔女—————