二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSグリル 開幕間近! ( No.199 )
日時: 2011/06/30 16:37
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

「…はじめまして、星の戦士—————カービィ」

グリルは、まだダメージの衝撃があるのか、少しよろめきながら、カービィの正面に立ち、深緑の瞳を光らせ、驚きを隠せないカービィをにらみつけている。
初対面の会話すら、皮肉に満ちている。

あまり、良い雰囲気とは言えない。

「君…グリルっていったよね…まさかグリルがプププランドを—————」

「違うね」

グリルは依然とカービィをにらみつけながら、吐き捨てるように言う。

「僕ちんじゃない」

「じゃあなぜ君はここにいるの?…それよりも、どうしてボクに攻撃してきたの?」

「なんで僕ちんが攻撃してきたってわかったの?」

自分の目の前で、邪悪にほほ笑む魔女に対して、カービィは疑問でいっぱいだった。

「—————君がここにいるから」

あまりのことで、混乱してうまく言葉にならない。
カービィは適当に、考えられたことだけを口にした。

「…ぷ、あは…あははははははははははは!」

グリルは、カービィの言葉が面白かったのか、大笑いをし始めた。
…あまり気持ちのいいことではない。

「あははははは!僕ちんがいたからぁ?カービィ、君って馬鹿だねぇ!脊髄でしかものを考えられないやつって君のことなんだね!ばっかみたい!あははははは!君って爬虫類なの?くくく…!もっとさぁ頭使おうよ!ばぁ〜かっ!!」

からかうように、あざ笑うように、グリルはカービィに毒を吐き続ける。
さすがにカービィも、これにはカチンとした。

「じゃあなんなの!?大体はじめてあった人にそんな風に言われたくないよ!」

温厚なカービィが珍しく怒りの表情を見せた。
そんなカービィを見て、グリルはさらに悪魔のように笑い出す。

「せっかくもう少しできみを殺せたのに、と〜っても残念だよ!簡単に言っちゃうと、僕ちんが魔法でお馬鹿な君をお風呂場に突っ込ませたんだよ!おかしいなあ、仕留めたと思ったんだけどねぇ」

「ま、まさか今までの攻撃は全部…!」

「気が付くのが遅いよ。ほんっとうに馬鹿だなぁ。鈍いしとろいし、…まるで昔の僕ちんみたい…—————そうだよ!僕ちんがきみに攻撃を仕掛けてたんだよ!透明魔法使ってたから、実にきみの間抜けっぷりを堪能させてもらったよ!でもほとんど無傷なんだもん!だから水にぶち込んでやったらさすがに死ぬかな〜って思ったのに!とんだ無駄足だったよ!しかも僕ちんの正体が見破られちゃうなんてね!」

グリルは、かわいらしい少女の見かけに反して、とても恐ろしく、残忍なことを軽々と口走る。
邪悪な笑みは絶やさない。
憎しみに燃える瞳が、カービィを鋭く見つめる。

「君は…いったいなんなの…?」

グリルの威圧に押されたカービィは、戦闘態勢を取りながら、そう問いた。

「さっきもいったじゃん、僕ちんは『箱庭』を守る魔女だって!」

「『箱庭』?」

「あきれた!それすら知らないの!?『箱庭』はこの空間、この世界だよ!」

あの花畑も、この屋敷も、あの青い青い美しい空も、全て『箱庭』の中の世界。
〝絵画の魔女〟の魔法によって、生み出された世界。

「…ほかの星かと思っちゃった」

「きみって知識無しだね」

「だって!突然ここに呼び出されたんだから!」

「とつ、ぜん…!?」

グリルはカービィの言葉に、ひどく驚いた様子だった。
なぜそこまで驚いたのかは、わからない。
グリルの表情が、邪悪なものから、不安に変わる。

「やっぱり…こいつに…」

「?」

グリルの表情の変化に気が付いたカービィは、よくわからないことを呟くグリルを見つめる。
かわいい少女だ。
だけど、この子の心はそれほどにも残酷なのか。

「(でも、なんだかボクにはそんな風には思えない…)」

まるで、無理やり悪の皮をかぶっているみたいだ。



「ドロシア…」

どろしあ?
彼女が悲痛そうにつぶやいた中に、誰かの名前が混じっていた。

「どろしあって…?」

カービィは、不思議に思って、思わず声に出してしまう。

「っ!」

すると、グリルは驚きに瞳を見開き、さっきまで威勢よくしゃべっていた口を手でふさぐ。
どうやら、しゃべってはいけないことを口走ってしまったようだ。

「どろしあって…まさかプププランドを…」