二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSグリル 開幕・・・! ( No.220 )
日時: 2011/07/03 14:06
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

「(やった!魔法陣は破壊できた!)」

カービィは、心の中でガッツポーズをする。

「よ…よくも…よくもやったなっ…!?」

グリルはゆらりと、立ち上がった。
息は荒く、殴られた衝撃で唇が切れて血がにじんでいる。

「よくも…よくも…!!」

怒り震えたグリルは、ゴシゴシと唇の血をぬぐいとる。
しかし、逆に傷が開いてしまっている。
そんなことも気にせず、グリルは我を忘れるような勢いで、カービィを睨み付ける。

「…教えて」

カービィは申し訳なさそうに言った。

「ドロシアがどこにいるのか…」

「嫌だっ!絶対教えるもんか!おまえなんかに教えてたまるもんか!」

グリルは吠える。
今にも噛みついてきそうな、憤怒の表情をあらわにして。
そして、今にも泣きだしてしまいそうな、もろい瞳。
カービィは、グリルと戦いたくなかった。
無理して悪の皮をかぶった、少女とは、もう戦いたくなかった。

「ボクは……戦いたくないんだよ…」

「うるさい!逃げてんじゃない!僕ちんはまだまだ戦える!おまえほまえの心配してろっ!この木偶の棒が!!」

わめくように、グリルは叫び。
再び魔方陣を出す。

「おまえはここで!僕ちんに倒されればいいんだよっ!!」

ブロックが、カービィの上から、土砂崩れのように落ちてくる。

「!」

カービィはあわてて回避する。

「わぁっ!?」

回避して移動した先に、ホウキを振り回してグリルがカービィに襲いかかってきた。

「おまえが!おまえが!おまえが!おまえが!おまえが!」

呪いの呪詛のように、叫び続けるグリルの攻撃は激しく、カービィはかわすのが精いっぱいだった。
できれば、カービィはグリルに怪我を負わせたくはないのだ。
いくら、プププランドにひどいことをした奴の、仲間だからといっても、殺したくは、なかった。

「おまえがっ!おまえがっ!おまえが『ここ』にきたから!ドロシアは!ドロシアは!ドロシアはっ!」

「ボクがここに来たから…!?」

カービィはムーンサルトをして、グリルと距離を取る。
殺気満々なグリルは、まるで猛獣のようだった。
もう笑ってはいなかった。
ただ憎しみのまま動いている、そんな感じがした。

ドシャアアアアアアアアアン!!!

「!」

さっきよけたブロックたちが、耳が痛くなるような音とともに、地面に落下した。
カービィは一瞬驚いて、後ろを振り返った。

その一瞬で—————

「らああああああぁぁぁ!!!」

ガッ!!

「うあっ…!」

今までで一番激しい衝撃を、カービィは身に受けた。
後頭部を、思いっきりホウキで殴りつけられ、カービィは意識をぐらつかせる。
血があふれ出てくるのを感じた。
平衡感覚がわからなくなり、フラリと倒れこんでしまう。
さらにグリルは、倒れ伏したカービィに容赦のない追撃をする。

「おまえが!おまえが!おまえがっ!おまえさえこなければ!!」

「あっ、ぐっ、うっ、うっ」

なすすべもなく殴打されるカービィ。
体中にあざができていく。

「おまえさえこなければっ!!!」

ガッ!!

カービィはボールのように、吹っ飛ばされ、転倒する。

「殺してやるっ!!〝ドロシアを殺しにきたおまえ〟なんて!!ぶち殺してやるっ!!!」

「…—————え…?」

グラグラ揺れる意識の中、グニャグニャ歪んで見える視界の中、グリルの悲鳴に近い声がはっきりとではないが、聞こえた。

〝ドロシアを殺しに来たおまえ〟…?

カービィは疑問だった。

ボクは、誰かを殺しに来たわけじゃない…と。

「死ねっ!!」

カービィの真上に、今までの中で一番大きなブロックが現れる。

「(かわさ…なきゃ!)」

しかし、体が動かない。
なぜなら足も手も、小さなブロックで固定されてしまっているのだから。

「(駄目だ!ボクは…ボクはこんなところで死んじゃだめだ!)」

みんなが待っているんだ。





ボクが—————
















全てをつぶしたかのような、轟音が響く。