二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 幻想の魔筆 VSドロシア開幕間近! ( No.284 )
- 日時: 2011/07/16 19:21
- 名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
「友達…」
「ボクは、ドロシアともお友達になりたいんだ—————」
「とも、だち…」
「ドロシアのことをもっともっと知りたいし、一緒に遊びたいもん」
「貴方…」
「いいでしょ?」
「わ!私は!貴方の大切なものをどれだけ…!!」
「あなただけでは殺戮衝動を抑えられないのなら、ボクもグリルも協力するよ!ドロシアの…」
カービィは困惑しているドロシアに向かって、筆を渡そうとする。
「ドロシアの〝さよなら〟は〝たすけて〟って聞こえるんだ…」
「た—————」
カービィの言葉に、ドロシアは表情を一変させる。
それは、恐怖。
この世の終わりを見たような、驚愕の表情。
助けて
たすけて
タスケテ
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ—————
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ
「いやああああああああああああああああああああああああああああああ!!!あああああああああああああああぁぁ!!!!」
絹を引き裂くような、甲高い悲鳴が、部屋を揺るがす。
「!?」
それが、ドロシアの声だということに、カービィは一瞬気づけなかった。
カービィの手に握られていた筆を、ドロシアは乱暴に奪い取り、カービィを突き飛ばした。
「うわあっ!」
カービィは力のベクトルに押され、部屋の壁まで吹っ飛ばされ、背中をしたたか打つ。
「うぅ!」
グリルとの戦いの際の傷が、開きかけ苦痛を訴える。
しかし、倒れるわけもいかず、片手に力を入れて壁をお死、立ち上がる。
一体何が起きたのかはわからない。
「駄目よ駄目よ駄目よ!!私は————私は死ななければならない!ワタシハシナナケレバナラナイ!!タスケテなんて思っちゃいけない!思っちゃいけない!いけないいけないいけないいけない!!!死ななければ死ななければ死ななければ死ななければならない!!」
ドロシアは、魔筆を両手で抱え持ち、カタカタと震えて、パニック状態に陥っていた。
「ドロシア…!」
「どうしてどうしてどうしてあなたはあなたはあなたは殺してくれないの!?どうして!?私が死ねば!グリルも貴方も死ななくて済む!!」
ドロシアが叫ぶたびに、オーラは膨れ上がる。
今にも爆発してしまいそうだ—————
あれが爆発したら、いったいどうなることだろう…
「もうこんなのは嫌っ!!私は!!私はもう誰も殺したくなんかないっ!!!殺したくなんか…ないのに—————」
「だってボクは—————あなたを殺したくないんだよっ!!」
自らの死を望むドロシア。
ドロシアの生を望むカービィ。
なんて、複雑な、対極。
「—————ふ」
くすり、と微笑。
「うふふ—————」
それが、徐々に笑い声に変化していく。
「うふふふふふふ—————アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
ドロシアは狂ったように笑い出す。
壊れたように笑い出す。
終わったように笑い出す。
複雑な表情を浮かべたカービィにむかって、ドロシアはとびっきりの笑顔を作った。
とびっきりの、邪悪な笑顔を。
「だったら—————貴方が私を殺してくれるくらいの、殺意を作らないとねぇ」