二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  お知らせ! ( No.309 )
日時: 2011/08/04 18:56
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

「それしかないからって・・・あなたは今ちゃんと生きてここにいるでしょ・・・?絵しか描けないのなら・・・あなたはここに生きていられないはずでしょ?」


カービィは憂いに満ちた瞳を、ドロシアに向けた。


「生きている・・・私は生きているのかしら?」


「死んでいたら、あなたはここにいないよ・・・」


「私は生きながら死んでいるのかもしれないわ」


「何だよそれ・・・!」


「だって・・・私は死んでいるも同然なもの」


ドロシアはドレスの袖を、不思議な風に泳がせる。


「私は、今まで幾多のものと会った。そして、幾多の者に言われた」


すぅ、と

ドロシアは息を吸い、はいた。




「『お前は作り物のような存在だと』」




「・・・・っ!!」


カービィは絶句した。

だって、自分が感じたドロシアの第一印象をそのまま言われたのだから。
ありえない美しさ。
それが、本当に作り物のようにカービィには思えたのだ。

生あるものではなく、死体のような。

死体ではなく、骸のような。

骸ではなく、偶像物のような。

偶像物ではなく、創造物。

創造物ではなく、作り物。



「私はね—————身を守るために、この姿になったの」


ドロシアは、自分を指さした。


「それじゃあ!ドロシアのその姿は・・・ドロシアが作ったの!?」


「ええ。そうよ。私は自分に皮を被せているの—————グリルにはばれかけてしまったけれど・・・」


水色の長い髪も、満月のような瞳も、独特の美しい雰囲気も—————



全てが、全て—————ドロシアが描いた、偽物の自分。


「それじゃあ・・・本当のドロシアは・・・!!」


「それを見せたくなかったから、私は皮を被ったの・・・」


「・・・!」

「とんだ無駄話をしてしまっとわね。さっきもしたのに・・・うふふ」


ドロシアは、再び筆をピンと立て、召喚された無の絵画に、素早い手つきで絵を描き始める。


「幻想絵画—————『光を求める怪鳥』」


「!?」


実体化されていくその絵は、とても巨大だった。

まもなくして、カービィの目の前に、とてつもなく大きい化け鳥が出現した。