二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSドロシアついに開幕! ( No.316 )
日時: 2011/08/04 19:32
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

影が具現化する。

そんな感じだった。
怪鳥は、絵から不吉な音を立て、ズルズルと無理やり這い出てくるように出てきたのだ。
その時点では、黒と紫を混ぜた、闇色だったが、外に出てくるとともに、少しずつ装飾されていった。
巨大な羽を広げ、体を慣らすように、ボキボキと骨を引き延ばすような音がする。
だんだんとちゃんとした形を作っていく怪鳥を、カービィはひきつった表情のまま、目をそらせなかった。

やがて、体格も整い、怪鳥はカービィを見下ろした。
漆黒な瞳は、カービィをとらえていた。
食い入るような眼で、見ていた。


「キシャアアアアアアアアッッ—————!!!」


怪鳥は、濁った天を見上げて、雄叫びを上げた。
ビリビリと声は振動子、カービィの皮膚を痺れさせる。


「—————っ!」

「・・・・」


歯を食いしばったカービィを、ドロシアは複雑そうな目で映した。


「・・・貴方が戦わないのなら、こちらからいかせてもらうわ」


ドロシアは炭酸の抜けたような、あいまいな声で、怪鳥に向かって魔筆を突き付けた。


「いきなさい」


その合図とともに、怪鳥は闇色の翼で、カービィの真上を蹂躙した。
口ばしは鋭くとがっており、刃物以上の切れ味を持っていることは間違いなしだった。
そんな怪鳥が、カービィを食い殺さんばかりに襲ってきたのだ。


「うわあっ!!」


カービィは自分の頭部すれすれに通った怪鳥を、すっ転ぶようにしてかわすが、それでほっとはできなかった。


「!?」

「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


反転した怪鳥の特攻が、カービィの真後ろまでもうきていた!


「っう!!」


ガリッ!!


「痛・・・!」


カービィの背中を、怪鳥の鋭い口ばしが思いきりかすったのだ。
そのせいで、グリル戦の傷が一気に開き、ドクドクと血が流れ始めた。
運よくまだ皮だけで済んだが、肉も掻き千切られてもおかしくなかった。


「このっ・・・!(反撃しないと!でもコピー能力が・・・!)」


コピーするものが何もないこの状況、反撃などできるわけがなかった。
しかも、相手はあんな巨体を持つ鳥だ。
肉弾戦なんて、自殺行為だ。


「こ・・・のおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


悪あがきのように、カービィは次々と襲いくる連撃を、掻い潜る。
かわし続ける。
しかし、そこまで体力が持つはずでもなく・・・!


「うわああああっ!!!」


何回も攻撃をくらい、カービィの体は跳ね上がる。
回避する余裕は、もうあまりない。


「うう・・・!」

「キシャアアアアアアアアアアアアア!」


相変わらず、怪鳥は戦う気満々だ。
これもドロシアが作った人格というか、感情なのだろうか。

ひじょうに、狂気で満ち溢れている。







いったんきります