二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSドロシアついに開幕! ( No.342 )
日時: 2011/08/12 21:49
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

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グシャっと、何かがつぶれるような音がした。


それと同時に、ゴキリと骨が折れる音がした。


誰の音かはわからない。


ブシャっと、血が噴き出た。



それが、そこらじゅうを赤く染めた。




赤く赤く、あかくあかく、赤々く—————

















「ごめ、ん・・・!ご、めん・・・ね・・・・・・・・!」




カービィの息も絶え絶えな、涙交じりの声が静かに聞こえた。



赤い海の真ん中に、カービィが跪いていた。



















怪鳥の死体の目の前で、涙をこぼして—————

















怪鳥の、死体。














返り血をべっとり浴びたカービィ。





















カービィ—————怪鳥を。














「ふふ・・・・おめでとう」


ドロシアはぱちぱちと、軽い握手をした。


「私の芸術は、一つ壊されてしまったわね」


カービィは返事どころか、振り返りもしない。


「大丈夫、その血は血を描いた絵具。本物ではないわ」


怪鳥は、死んだ。
ドロシアの芸術は壊された。

カービィが壊した。


「・・・貴方、もともとその怪鳥を倒せる力は持っていたのね。でもどうして?どうして最初にそれを使わなかったの?それを使えばあなたはこんな怪我をせずに・・・」



「ころしたく・・・なかった!」


カービィは悲しみに震えながら、言葉を発した。


「ころしたくなかった!少しでも・・・少しでも分かり合おうと思った・・・でも、こうしなかったら、ボクは絶対死んでた」

「別に、貴方は悪くなんかないわよ?だってあなたは生物を殺してなんかいないもの、あれは生物を模した絵よ?私の作った。なぜそんなものに感情移入をするの?」

「だって!ボクは何も殺したくない!!たとえそれが模したものであっても!!」

「・・・・・・」


血で汚れたカービィは、ドロシアを潤んだ眼で見つめた。







「もうやめようよ・・・こんなこと」




「やっと私を殺してくれるきになったの?」



「違う!—————もうやめようよ。こんなことしても何も意味ないよ!」



「どうして?」



「駄目だよ。こんなの」



「駄目?」



「死ぬのは駄目だよ・・・」



「どうして?私は死ななければならない。私が死ななければ、いずれ私はこの宇宙のありとあらゆる者を殺戮にしてしまう」



「でも!それで何十人何百人何千人何万人何億人救えても!ドロシアは救われていない・・・!」



「・・・・・・」



「一人でも多く助けたいって言葉があるでしょ?ボクのモットーはそうなんだよ!」



「化け物の私を助けると?」



「ドロシアを助けたいんだ!きっと!探せばあなたの人格を抑えられるかもしれない!まだまだ方法は・・・!」



「時間がないの」


「時間・・・?」


「もうじき私の魔力が切り替わる。もう一人の『私』と。そうなったら、この『箱庭』は壊れる」


「そんな・・・!」


「中に残っていたら、時空のはざまにつぶされて死ぬ。貴方も早くここから離れたほうがいい。グリルを連れて・・・ね」


「駄目だよ!そんなの駄目だ!!それじゃああなたは救われない!ボクはドロシアを・・・・・」


「私を助けたいのなら、私を殺して」


「!」


「それが私の、唯一の救済」


「そんなの・・・いけない!」


「私は、貴方に殺されて死ぬ。そしてあなたとグリルはここからでる」


「ドロシアはグリルと一緒に暮らしたいんじゃないの!?戻りたいんじゃないの!?」


「・・・・・・・」


「違うの!?だってドロシアはグリルのことを優先して物事考えてるよ!あなたは・・・!!」














「だったら・・・・だったらどうして!?」


「え・・・」


「どうして私の望んだものは全て壊れてしまうの!?『理想』も崩壊したわ!なぜ!?なぜなの!私はグリルのことが大好きなのに・・・どうしてあの子を殺すことを考えているの!?私は頭の中でもうあの子を二千四百七十六回殺しているわ!!もう嫌なの!もう誰も殺したくないのに!『私』は殺戮を欲している!うずうずして・・・今にもあなたを殺してしまいそうなの・・・・!」



ドロシアはふらりふらりと、カービィの目の前に来た。
力が抜けたのか、落ちるように血の海に降り立つ。


「私はグリルと・・・・もう一度一緒に暮らしたいわ。うふふ・・・なんて浅ましいの?私は」

「間違ってないよ・・・間違ってないよ!浅ましくもない!ドロシアの望んでることは・・・間違ってなんかないよ!」

「でも・・・・もう無理なの」

「!」

「私は・・・きっとあの子を殺してしまう」