二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSドロシアついに開幕! ( No.348 )
日時: 2011/08/13 15:55
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

「そんなこと・・・絶対に・・・!」

「貴方に・・・いったい私の何がわかるっていうの・・・!」


怒りに震えているのか、悲しみに震えているのか、それとも武者震いなのか、ドロシアは自分を抱きしめながら震えた。
心なしか、ドロシアがまとっている悪気が、深まったような気がした。


「何も・・・何も誰もわかってくれないわ!!どうして!?どうして誰も私を見てくれないの!?そのせいで私は化け物になったのよ!!私のことを貶して!私のことを捨てたから!!」

「見てない・・・って?」


カービィはドロシアの言葉の意味が、全く分からなかった。
現に、カービィはしっかりとドロシアを見ている。


「何もわからないくせに!!私のことなんて・・・!貴方は私のことを殺せばいいのよ!!私は助けてなんて言ってない!!ただ私を殺せばいいのよっ!!!」


ドロシアは強引にカービィの手を引っ掴み、自分の首元にあてがわせた。
その距離は、10センチほどしかなかった。


「・・・・!!」


カービィは、ドロシアに触れた瞬間手を振り払いたい気分になった。
べちゃりと、液体がついた。
それは、絵具だった。
ドロシアの体から、絵具が—————


「私を・・・・誰も本当の私を見てくれないのよ!グリルだって気づいてくれない!誰も私のこと・・・わかってなんかくれないわっ!!!」

「嫌だよっ!もうやめようよ!」

「私を殺してっ!!」

「嫌だっ!!貴方が死んだら・・・グリルが一番悲しむ!!」

「私はあの子を殺したくはないのよ!!」

「ボクがとめてみせる!!絶対に・・・絶対に・・・ボクが・・」

「だったら・・・!私を殺してあの子を守ってよ!!」


ドロシアは泣いていた。
悲痛に泣いていた。
絶望に泣いていた。
哀れに泣いていた。


カービィの手は、絵具がついていた。
マーブル色の、グチャグチャな—————


「助けてあげて・・・あの子・・・まだまだ魔法は見習いの身なの・・・貴方が・・・ついていてあげて・・・・」

「その役目はあなたのものだよ!ドロシア!」


「お願いよ・・・!もう・・・私は・・・わたしは・・・・・・ワタシハ・・・・・!」



ドロシアの口調が、カタコトになったと思ったら—————


「がっ!!」


カービィは、体全身にとてつもない衝撃を感じ、吹っ飛ばされた。
ががが・・・と、地面に擦れた部分は皮を剥いた。
一瞬絶息したカービィは、ドロシアを見た。








   ル  


                     ナ




















「—————っ!!」




ドロシアは、明らかに、違った。







「コロ・・・・・・テ・・・・・ル・・・・」



ゆらりと立ち上がったドロシアは、服も絵具で染まっていた。
目元は隠れて見えなかった。

見た目はドロシアだ。

でも・・・ドロシアじゃない!




全然、雰囲気が違う。


決してかけていなかった、上品さは—————欠けらもない。


狂気そのものだった。

殺気が、ドロシアの背に翼のように生えていた。

大事そうに握られていた魔筆は、他愛もなく手から落とされ、バシャンと海に落ちた。


「コロシテ・・・・ヤル・・・・・・・・」


声音すらまるで違った。

これではまるで—————本当に化け物だ。




「ド・・・ドロシア・・・!」


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア—————!!!!」




ドロシア・・・否、もう一人のドロシアは高笑いするように叫んだ。

その笑い方は、何もかも憎んで、何もかもを恨んでいるような、あざ笑いだった!