二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSドロシアついに開幕! ( No.352 )
日時: 2011/08/13 19:46
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

第十四楽章 彼女の世界


♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪・:*:・




世界が、回るような錯覚に陥った。


さっきまでは、少なからず平衡を保っていた空間が、崩れるように傾いていく。

視界が、テレビの接触がぶれるように、波立つ。

頭が割れそうになるほどのノイズが、響き渡る。

まるで、空間の底に巨大なブラックホールができてしまったのか、ありとあらゆるものが吸い込まれていく。

砦のような檻は、もろく崩れ去っていく。

ケバケバしい異空間すら、飲み込まれていく。

闇が来る。

押し寄せるような暗黒が向かってきている。

ブツブツと、途切れそうな空間の隙間から、わずかに『箱庭』の様子がのぞけた。

花は枯れ、建物もどんどん崩れていく。

『箱庭』の摂理が切れた。

もう、空間を保つことすらできなくなったようだ。

あの—————絵画の魔女は。

時間が狂っていく。

目の前の光景が、早送りのように見える。

幻覚のようなものさえ、視認できる。

きっと、今時計があったら、針は高速で円上を動いていることだろう。

それはいったいどちらに回るのだろうか。

時計回り?それとも反時計回りだろうか。

それとも、そのどちらでもないかもしれない・・・・







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カービィは顔を歪めて、手で耳を必死でふさいでいた。
ノイズがうるさい。
頭が本当に割れてしまいそうだった。

すでに、空間にはぽっかりと大穴があき、カービィは落下していた。
でも、重力という概念が薄いのか、ゆっくり落下しているようにも感じられる。
先ほどまでいた空間とは、欠けらも違う。
大きな大きな、長い長い

カービィは、薄く目を開ける。
この世のありとあらゆる色が混ざりきったような空間だった。
目がチカチカして痛い。
テレビ画面の砂嵐を、間近で見ているような気分だ。

そんなわずかな視界の中で、カービィは今の現状をとらえようと、目を開ける。
下手したら失明してしまうかもしれないが、もうそんなことは考えられない。





「ドロシアああああああああああああああああああ!!!」




カービィは喉がつぶれる勢いで叫んだ。

少し離れた場所に、ドロシアは佇んでいた。

ゆっくりとカービィのほうを振り返った。

その姿は、絵具を溢れ出し、溶けてゆく。

わずかに保った正気を、ドロシアは溶けていくなか、カービィに必死で何かを伝えようと、手を伸ばしていた。












—————オ
            ガ
       ネ
 
                イ




    ア     ノ


       コ     ヲ

                     モ
             マ

                           ッテ・・・    








懇願するように、ドロシアは消えゆく中で、聞こえない声を発した。

月の瞳からは、ひどく幻想的な涙が、時間を忘れたようにこぼれていく—————





ドロシアは、バタリと音もなく倒れた。

泡のように消えていく中、徐々に彼女の輪郭がぼやけていく。

ドロシア・ソーサレスは、細長い縦楕円の卵のような形になっていく。

それが、もう一つの人格の塊だった。

塊は、周りに集まった殺気を吸収していき、目でわかるほどの速度で大きくなっていく。









—————ワタシヲ


—————ワタシヲミテ


—————ワタシヲワタシヲ


—————ワタシダケヲミテ


—————ワタシハココニイル


—————ワタシハヨミガエル


—————ワタシハゲンソウヲウミダス


—————ワタシハセカイヲツクル


—————カイガノセカイ


—————カイガノセカイヲツクリヒトリノコラズコロシテゲイジュツニシテヤル


—————ミンナミンナワタシヲミテ


—————ワタシハココヨ


—————ワタシヲミテ


—————ミテ!!









魂塊は、新たな空間を創りあげていく。





辺り周辺は爆発するように、激しい音で包まれる。


















そして、誰も何もわからなくなった—————











封印は完全に解けた。







ドロシアソウル





ドロシアのソウル





もう、絵画の魔女の面影すら残っていなかった。



荒々しく乱れた心は、狂気を生み、濁った心は、死を生む。






                              
             —————ホントウノオシマイノハジマリ