二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 幻想の魔筆  VSドロシアついに開幕! ( No.354 )
日時: 2011/08/13 20:34
名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)

あまりにも本編が暗いから、ちょっとだけ明るいおまけ(短編)

♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪・:*:・

ここは『箱庭』。
今はおそらく午後のティータイム。
ドロシアとグリルは、屋敷の庭にテーブルを持ってきて、のんびりとおやつの時間を堪能していました。
グリル希望(と言ってもいつもだが)甘いイチゴのショートケーキ。
少し大人の味の、ダージリンティー。
白いテーズルクロスがひかれたテーズルは、とても素敵な雰囲気を醸し出していた。


「ねえ、グリル」

「なぁにぃ?ドロシア〜・・・ムグムグ・・・」

「と、とりあえずはケーキを食べてから話しましょうか。突然話しかけておいてなんだけど・・・」

「ん〜そーする・・・・・モグモグ」


ドロシアに話しかけられたグリルは、すでに二個めのケーキをあまり行儀よくない食べ方でぱくりと平らげる。


「改めて・・・何ぃ?」

「グリルは何故自分のことを『僕ちん』と呼ぶの?」

「ほえ?」

「普通・・・女の子は『私』か『あたし』のような一人称ではないの?『僕』というのは・・・殿方ではなくて・・・少年が言うものではないのかしら?私、ほとんど外を知らないからわからないわ」

「あぁ〜それね!僕ちんはね!な〜んか私キャラでもあたしキャラでもないんだよね!」

「キャラ?」


ドロシアは、はてなと首をかしげた。


「だってなんか僕ちんが私〜とかあたし〜って言ってもなんか・・・変じゃない?」

「そう、かしら?」


自信満々でいうグリルに対して、いまいちよくわかっていないドロシアは頭上にクエスチョンマークを浮かべていた。


「僕ちんていうのが一番僕ちんにあってる気がするんだ!それに、僕ちんってのほうが、男にも負けない強い感じじゃん。それにこれが一番言いやすいんだもん」

「ふふ・・・確かに、グリルが私なんて言ったら・・・ふふふ」

「ちょ・・・笑わないでよぉ!」

「ごめんなさい・・・ふふふふふふ」

「—————ドロシアには、あたしなんか似合わないね♪」

「わ!私はこの呼び方でいいのよ!あわわ・・・!」


グリルのからかいに、ドロシアは恥ずかしそうに困惑している。


お茶会は、花畑のそばで行われている。
花の香りが、とてもよく感じられる。
ティーコゼーを被せたポットは、いつまでもあたたかい。


「不思議ね・・・言葉を話し、感情を持つ生き物でも、一人一人がまるで違うのね」

「そりゃあそうだよ。みんながみんなそっくりだったら怖いよ」

「一人一人が違うから、皆良い・・・・そんな詩をどこかで聞いたことがあるような気がするわ」

「いい言葉だね」

「・・・・誰も争わない。平和な世界・・・・いつかできるかしら」

「どうだろうね・・・・もし外の世界が平和で、争いがなくなったらドロシアは外の世界に行くつもりなの?」

「まさか!私はこの『箱庭』が好きなの。どこにも行く気はないわ」

「え〜・・・ドロシアの絵は、世界で一番うまいのに、もったいなくない?世界中の人に見せてあげたくないの?」

「ふふ・・・私はグリルが見ていてくれるから十分よ。—————それに、争いのない世界になれるわけがないわ・・・」

「え・・・」

「生命というものは争うもの。競い合うものなの。それは本能にも近いもの」

「・・・だから、皆争いがなくなればいいって願うんだよ」


グリルはシュンとして、白木の椅子の上で体を丸めた。


「そうね。いつか・・・・それがたとえかなわないものだとしても、願うことで、もしかしたら救われるかもしれない・・・・なんてね」

「なんてねって何?」

「ふふ・・・それよりもグリル。ほっぺにクリームがついてるわよ」

「え!マジで!?」

「慌てん坊さんね」

「違あああう!僕ちんは慌てているようで実は未来を予測しているんだっ!」

「?」

「ぼ、僕ちんはほっぺにクリームがついているということが、すでに予測できていたああ!!」

「ふむふむ・・・じゃあ貴方のフォークがテーブルから落ちそうだったことは、すでに予測済みなのね♪」

「うぇ!?わ、わうううう!!」


高い音を立てて、銀食器のフォークは石畳に落下した。


「わああ!フォークが・・・!」

「大丈夫よ・・・今絵を描くから」

「じゃあ三秒でフォーク描いて!」




「はい♪」

「早!嘘!?僕ちん冗談のつもりで言ったのに!しかもめっちゃうまいし!」

「ちょっと模様を入れてみたわ」

「模様!?めちゃくちゃベ○サイユ風じゃん!これを三秒で!?」

「さあ、紅茶が冷める前に飲んじゃいましょう」

「ドロシア〜・・・ケーキお変わりィ・・・」

「駄目。もう二個食べたでしょ。食べ過ぎはよくないわ」

「僕ちん食べ盛りなんだよぉ!」

「ならもっと野菜を食べなさい♪」

「あうう〜・・・・」


楽しいティータイムは、まだまだ続きそうだ。
花々は、優しい風に揺られながら、ほのぼのしている二人を見ていた。

甘い香りを載せて—————



                     終



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はい。おまけでした。
この話は本編に入れる予定でしたけど、入れる余裕がなかったんで短編でアップしましたw
本編が暗すぎるので、明るくしてみました。
そう思うに、この二人の送っていた毎日は、とても幸せだったんじゃないかと思います。

・・・私もケーキ食べたいなあw

もしかしたらまた短編書くかも。