二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 幻想の魔筆 ♪参照100突破♪ ( No.43 )
- 日時: 2011/05/18 19:02
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
「ついた…!」
全力疾走で走り、息も絶え絶えであり、ひとまず息を整えるカービィ。
ここはプププ城の正面。
プププランドの高い切り立った崖にあるお城。
巨大な要塞。
ここにわがまま自称大王が住んでいる。
高貴な城は、絵の具で汚されていた。
元の城の城壁が見えないほどに。
「今まで見た中で…一番ひどい…!」
あまりに大量の絵の具にの臭気に、カービィは思わず顔をしかめてしまう。
プププビレッジの住宅街も、ここほど絵の具だらけではなかった。
しかも、ひどいところでは、平面化が始まっている。
浸食するように、変貌していく。
「みんなここにいるのかな…」
跳ね橋は降りている。
今なら進める。
「迷っている間にも、進んで行動した方がいいよね!メタナイトもそう言ってたし」
メタナイトの助言を力に、カービィは色が混ざりすぎてマーブル状になった跳ね橋を進もうとする。
その瞬間。
ぞくり
と
液体窒素をかけられたような
恐ろしいものを見たような
ミミズが大量に詰まった壺に手を突っ込んでしまったような
背筋どころか全身に
悪寒がはしった
寒気がはしった
殺気がはしった。
ブルリ、と震えた。
「!?」
咄嗟に辺りを見回してしまう。
もちろん誰もいない。
その誰かを探すために、カービィは今動いているのだ。
「なんだよ今の…!」
冷たい。
冷たくて冷たくて。
死んでしまったような。
終わってしまったような。
凍えてしまったような。
凍り付いてしまったような。
そんな感じ。
「…!!」
そんな感じが、プププ城から今更のように、放たれている。
呪いのオーラがでている。
いつもの平和でうるさい城じゃない。
全てが滅んで終焉を迎えた城のようだ。
「やっぱり城になにかあるんだ…!」
やみくもに何かを探しても意味がない!
可能性があるところから探せ!
メタナイトの助言が、非常に頼もしく思える。
「行こう!」
自分自身に声をかけ、一気に跳ね橋を駆け抜ける。
その奥の正面門も開いている。
まるでカービィが来るのを待っていたかのように。
門をくぐり、庭にはいる。
庭は緑一色の植物だけだったのに、絵の具によって新たに作られた色とりどりの模様が不気味に咲いていた。
城壁を越えると、さらに冷気のようなオーラが強まる。
「本当にどうなっちゃってるの!?」
あんなにたくさんいるはずのワドルディ達でさえ、一人としていない。
音一つしない。
ゴーストタウンのようだ。
「誰もいないの!?ねえ!!」
最上階の大王の間を目指して、カービィは皆を探しながら、長い長い螺旋階段を駆けあがる。
その階段でさえ、絵の具で平面化しそうだった。
「皆!!返事してよぉおおおおおお!!!」
叫び声が虚しく、木霊のように城内に響き渡る。
昨日までは、何もかもが平凡だった。
ブンやフームたち、デデデやエスカルゴン、メタナイトやトッコリ、住民の皆も、リックやカインもクーも、皆いた。
存在していた。
一夜にして、皆いなくなった。
「そんなわけないよね!?」
前にも似たようなことがあったが、その時はカービィの誕生日のサプライズだった。
今日は違う!!
じゃあ何故!?
「なんでボク以外誰もいないの…!?」
カービィが廊下を走る足音が、悲しく唯一聞こえる。
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たどり着いた大王の間の入口。
大王の間といっても、デデデが勝手につけた部屋の名前だ。
理由は「かっこいいからだぞい!」。
いつも大抵ここはうるさいのだが、今は音一つしていない。
「ついた…!ハア…ハア…」
デデデ城はとても広い。
しかも、カービィの場合は家から全力疾走でここまで来たのだ。
ぶっ倒れていない方がおかしい。
厚くて頑丈で、なおかつ豪華で上品な扉は、閉まっている。
「…ここから一番強くオーラがでてる…」
カービィは戦士だ。
戦士であるがゆえに、オーラや気配を察知できる。
ゾクリとするオーラ。
身震いしたくなる。
「でも、もしかしたら皆ここにいるのかも!」
喝をいれ、扉の取っ手を持ち、「ふんっ!」と内開きに押し開ける。
ギギギ…と、やけに重い音がする。
どうやら、扉のみぞ部分まで絵具が流れ込み、固まってしまったのだろう。
嫌な摩擦音とともに、ゆっくりと大王の間と繋がる。
シュウウウ…と、不思議な音が不意に聞こえた。
カービィはそこではじめて、部屋の中を見る。
「え…………━━━━━━━━━━━━━━━!!」
そこでカービィは、地獄を見る。